「ユニクロ(UNIQLO)」などを運営するファーストリテイリングの2020年8月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比12.3%減の2兆88億円、営業利益が同42.0%減の1493億円だった。コロナ禍による各国での店舗休業で減収減益となったが、国内や中国本土の回復スピードは予想以上。「究極の普段着であるLifeWearを掲げるわれわれは、コロナ禍前もこれからも服の世界で最高のポジションにいる」(柳井正会長兼社長)と自信を深める。この勢いのまま、21年8月期は売上収益が前期比9.5%増の2兆2000億円、営業利益が同64.0%増の2450億円と、「現地通貨ベースでは19年8月期並みの過去最高水準を見込む」(岡崎健グループ上席執行役員最高財務責任者)。
7月に発表していた20年8月期業績予想では、売上収益が2兆円を2期ぶりに割り込んで1兆9900億円となり、営業利益は1300億円で着地する見込みとなっていた。しかし、ふたを開けてみれば特に国内ユニクロ事業が6~8月に絶好調で、予想から上ぶれする結果となった。6~8月の既存店売り上げは前年同期比20.2%増で推移し、通期の売上収益は前期比7.6%減の8068億円にまで回復。通期の営業利益は同2.2%増の増益を達成している。
海外ユニクロ事業は売上収益が同17.7%減の8439億円、営業利益が同63.8%減の502億円と大幅な減収減益ではあるが、国内ユニクロ事業同様に7月の予想値は上回っている。特に中国本土や台湾の回復ペースが予想以上といい、8月に新規出店した中国本土の19店も全て予算を達成しているという。
こうした状況から、21年8月期は国内ユニクロ事業で「増収、大幅な増益」を予想。海外ユニクロ事業も東南アジアや欧米ではしばらくはコロナ禍の影響が続くと見るものの、中国本土や台湾などでは「大幅な増収増益」を見込む。それらが現地通貨ベースで19年8月期並みの過去最高水準の業績につながると期待する。「コロナ禍は世界的危機だが、転機にもなった。世界の政治や経済のほとんどのものがアジアに移りつつある。(これまでは欧米が中心だったが)今後は欧米とアジアがいかに連携していくかが重要になる。ビジネスに国境はなく、真に社会のためになる企業でなければ今後は生き残れない」と柳井会長は強調する。