東京・北千住のセレクトショップ「アマノジャク(AMANOJAK.)」はこのほど、2号店となる店舗を東京・千駄木にオープンした。
千駄木店は、1号店の北千住店の2倍近い約80平方メートル。グランドハイアット東京(六本木)などを手掛けた長谷川崇氏に内装を依頼した。白を基調に「バング&オルフセン(BANG &OLFSEN)」の音響機器や「トム・ディクソン(TOM DIXON)」のインテリアをそろえるなど2000万円弱をかけてラグジュアリーな空間を演出した。
北千住店は2018年8月に開店。「マルニ(MARNI)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」など下町の空気感とは相入れないようなハイエンドなラインアップをそろえ、2期目(19年9月〜20年8月)にして当初目標の年商1億円を達成した。さらに「ジェイ ダブリュー アンダーソン(J.W. ANDERSON)」「プランC(PLAN C)」「トーガ(TOGA)」「ターク(TAAKK)」などブランドラインアップを倍近くまで拡充し、手狭になったため店舗を増やす。
選んだロケーションはまたも東京の東側、ハイファッションショップの“空白地帯”だ。コロナ禍の厳しい商環境でも出店を決めた理由について、「たくさんのショップがある街で買い回るというよりも、目的意識を持ってお買い物をしたい方が増えている。だからチャンスはあると思った」と大津寿成アマノジャク共同経営者。「これからは表参道や銀座のような優良立地であることよりも、接客や商品など中身を差別化し、お客さまにとってオンリーワンの店になれるかどうかの方がよっぽど大事な時代になるだろう」。
ファンの“一歩先”を行く意識
客単価は開店時から2倍
売上高の順調な拡大は、「ファンの皆さまが、われわれと共に“成長”している」から。顧客の好みやスタイルを蓄積した“カルテ”を元にした接客により、「(顧客の)リピート回数が増え、高単価なインポート商品にチャレンジするお客さまも増えている」。開店当初から平均客単価は2倍以上に跳ね上がった。
同時に芽生えてきたのは、ファンの“一歩先”を行く意識。「顧客の皆さまは『アマノジャクのチョイスだから』と買ってくださっている。その期待に応えるために、売れ筋やトレンドは気にせず、自分たちが『これだ!』と納得したものを大胆に仕入れるようになった。リスクはあるけれど、その分覚悟を持っていいものを見極める。結果、他店との差別化もできて、もっとファンが増えるという好循環が生まれている」。
2020年秋冬に仕入れた15万円のコート8着は即完売し、アルバイトで稼いだ30万円でコートを購入した20代の客もいた。「僕たちがやってきたことは間違っていないという自信になっている。立地だけでなく、商品のセレクトや店の世界観もガラパゴスであり続けたい」。