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資生堂が血管研究を発展 未来の肌予測へ活用

 資生堂は2000年からスタートした血管研究において、17年に発表した肌を切らずに顔の毛細血管を可視化する独自技術を発展させ、顔全体の毛細血管を3次元で可視化することに初めて成功した。これまでの顔の部分的な解析から全顔が可能となり、技術に基づいた顔全体のケアと未来の肌予測への活用をかなえることができる。

 「肌表面を対象とする化粧品でなぜ血管なのか……。皮膚にはびっしりと血管網が張り巡らされている。血管は健康な皮膚の維持に必須。皮膚の話をするのに血管を考えないわけにはいけない。肌のことを本気で考えた。だから血管なのだ」と佐藤潔・資生堂アドバンストリサーチセンターセンター長は語る。同社は長年にわたって血管研究を進めていて、00年にハーバード医科大学付属皮膚科学研究所と米国マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ総合病院が設立した皮膚科学研究所「CBRC(Cutaneous Biology Research Center)」と共同研究を開始。これまで紫外線によるシワ血管知見や毛細血管と皮膚老化の関係性の解明などを行ってきた。

 17年には、肌を傷つけることなく皮膚血管の構造を深さ別に高解像度で画像化できる手法を応用し、特に観察が難しいとされていた顔の毛細血管を観察する独自技術を開発。18年は自社特許技術である皮膚組織の透明化技術を用いてシミの肌内部における血管構造異常の3D可視化に成功した。

 今回の血管研究は肌を切らずに行う独自技術を進化させたもので、全顔を3次元で可視化できるため顔の部位によって血管の状態が大きく異なることの把握が可能となった。進化ポイントの一つは、これまで1.2㎝角をスキャンするのに5分程度かけて行っていたが、30秒と大幅に短縮した。「肌状態や個人によって血管の分布や太さは大きく異なる。例えば、シミ部位に異常な毛細血管の密集が認められている。内外から健やかで美しい肌を実現するためには、目に見えない変調や血管全体の状態を把握する必要がある」と資生堂アドバンストリサーチセンター原祐輔氏は述べる。

 来年以降にこの技術を応用した製品を同社のプレステージブランドで展開する予定だ。今後も血管研究を深め内外から健やかで美しい肌の実現を目指していく。

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