数年前には考えられなかったことだが、今やファッション業界のサステナブル化は常識となっている。一方で、時計業界はこれに大きく後れを取った。時計が宝飾品同様ロマンを求める商材であることや精密機器ゆえのハードルの高さなどが要因だが、「スウォッチ(SWATCH)」や「トム フォード タイムピース(TOM FORD TIMEPIECES)」は“サステナブルウオッチ”の開発に本気だ。生産過程における大量の農薬や排水が地球を汚してきたアパレルに比べれば、直径4cmほどの時計が与える地球への負荷は元来小さい。しかし、問題はそこではない。“今、サステナビリティと向かい合うか否か”は企業の未来を占う。(この記事はWWDジャパン2020年10月19日号からの抜粋です)
1983年に誕生して一大ブームを巻き起こし、カジュアルウオッチの象徴的存在になった「スウォッチ」は、従来プラスチック素材だったケースやベルトを植物由来の素材に置き換えた時計の販売を開始した。時計ブランドが量産体制において、植物由来の素材を用いるのはこれが初めてだ。使用するのはトウゴマという多年草の種子から抽出した2種類のバイオ素材で、パッケージもジャガイモとタピオカのデンプンを原料に作られており、古紙としてリサイクルすることはもちろん、自宅のコンポストなどで生分解することもできる。
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