映画やアート業界に貢献する女性に光を当て、業界内の男女平等を推進する、ケリング主催のカンヌ国際映画祭公式プログラム「ウーマン・イン・モーション(Women In Motion)」が、東京・表参道に移転したケリング ジャパンの新本社で開催された。6回目となる今年は、10月23日に国内公開予定の映画「朝が来る」の河瀨直美監督と主演の永作博美、井浦新がゲストとして登壇した。トークの模様は、ケリング・グループの公式ウェブサイトで配信中だ。
直木賞・本屋大賞受賞作家の辻村深月の作品を映画化した本作「朝が来る」は、実子を持てなかった夫婦と、実子を育てることができなかった14歳の少女を繋ぐ特別養子縁組によって、新たに芽生える家族の絆と葛藤を描いたヒューマンドラマ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開催中止となった第73回カンヌ国際映画祭で上映予定だった56本の公式セレクション「カンヌ2020(Cannes 2020)」に選出されている。
映画評論家の立田敦子がファシリテーターを務めた同イベント内で河瀨監督は、「映画や映像業界で活躍する女性や、この世界を志す人が増えている感覚はあるが、実際コンペに入っている女性監督の人数は少ない。過去の受賞の際、現地のパブリシティ担当だった女性から、『女性がこの舞台に立つことが私たちの誇り』と言われたことが印象に残っている。それが欧米人の意識なのだと実感した」と述べ、海外と日本の意識の差について指摘。ほかにも、映画「朝が来る」で描かれる社会から求められる女性の役割についてや女性監督と男性監督の違い、河瀨監督ならではの現場の光景についてトークを繰り広げた。