化粧品業界は、コロナ下での感染拡大防止のため密を避け、店頭でのタッチアップの自粛やテスター使用の禁止など、これまで業界の最大の強みとされてきた「接客」がままならない状況になり、オンライン接客を取り入れる企業が増えてきた。専用のブースを作ったり、自宅を接客の場にしたり、各社可能性を広げている。「リアルで会って行うのが接客である」という概念が変化。それに伴い、美容部員の働き方にも広がりが見えた。(この記事はWWDジャパン2020年10月12日号からの抜粋に加筆しています)
認知拡大にリアルの場でオンライン接客
資生堂は百貨店と連携を取る形でオンライン接客を取り入れた。伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店でオンラインカウンセリングを展開。資生堂ジャパンオフィス内にオンライン特設ブースを作り、同店舗に入店、対応しているビューティコンサルタントがZoomを使って行う。1回30分で現状は1日3枠の設定としている。「スキンケアでの悩みや迷いを理由に参加する人が多い」(二宮久仁子・資生堂ジャパンブランド営業本部統括部長)と語る。顧客からは「店頭はハードルが高いと感じ接客を受けづらかったが、自宅でリラックスしてできた」などの感想があった。購入は両百貨店のECサイト、資生堂のECサイト「ワタシプラス」、店頭といった選択肢を案内する。
またリアルとの融合もある。伊勢丹新宿本店では9月2〜8日、「資生堂(SHISEIDO)」と「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」でプロモーションスペースにブースを設置してオンラインカウンセリングを実施した。「オンライン接客の周知も兼ねたもの」(早坂啓・三越伊勢丹化粧品グループ化粧品営業部新宿化粧品スタッフマネジャー)とし、リアルの場所から新しい接客手法を告知するという試みだ。
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