「ギャップ(GAP)」「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」「オールドネイビー(OLD NAVY)」「アスレタ(ATHLETA)」などを擁するギャップ社は22日、2023年までの経営戦略である「パワープラン2023(POWER PLAN 2023)」を投資家向け説明会で発表した。商品のラインアップ改善や顧客ロイヤリティーの向上、ブランドの認知度アップ、EC、オムニチャネル機能、店舗に焦点を当てる。
ソニア・シンガル(Sonia Syngal)最高経営責任者(CEO)がオンラインで登壇し、「私たちは北米で最も大きなリテーラーだ。厳しい経済状況の中でも子どもたちは成長し続けている。私たちは不況に負けない品ぞろえがあり、アメリカのワードローブのカジュアル化を先導してきた」と冒頭で述べた。1億7000万人の顧客を抱える同社の20年1月期の売上高は前期比1.1%減の163億ドル(約1兆6950億円)だった。カトリーナ・オコンネル(Katrina O’Connell)最高財務責任者(CFO)は最終目標を「年間3〜5%の売上成長を促進し、10%以上の営業利益率を目指す。また、売上高の約10%の営業キャッシュフローを創出し、設備投資と株主への還元を通じてキャッシュを効率的に展開していく」と語った。
「ギャップ」は北米の店舗数を今後3年間で35%削減し、店舗の80%をショッピングモール外にする。またヨーロッパの事業方針を再考してグローバルEC拡大を目指し、事業の撤退や部分的なフランチャイズモデルへの移行の可能性を探る。オコンネルCFOは、「『ギャップ』のECと、イギリス、フランス、アイルランド、イタリアにおける120の店舗を21年7月までに外部との提携に移行することを検討している」と語った。
「バナナ・リパブリック」も店舗数を削減する方針で、同ブランドと「ギャップ」の北米店舗合わせて350店を閉店する計画になる。オコンネルCFOは、「23年までに『ギャップ』と『バナナ・リパブリック』の収益の約80%は、モール外の店舗とオンラインが占めるようにする」と言う。撤退に際して約2億1000万ドル(約200億円)の費用を計上予定だが、年間最大4500万ドル(約46億円)の賃料削減を見込む。
一方「オールドネイビー」は、アクティブウエアやデニム、パジャマなどのカテゴリーに専念することでECを倍増させながら、今後3年間で売上高を80億ドル(約8320億円)から100億ドル(約1兆400億円)に増やす計画だ。また、20万人以下の地域を中心に年間30〜40店の出店を計画する。すでに同エリアを占めている大型小売店に変わるものを提供する狙いだ。同ブランドのナンシー・グリーン(Nancy Green)=プレジデント兼CEOは、「店舗は大切だ。私たちの戦略において重要な基盤であり続けており、店舗なしにオムニチャネルの顧客を獲得することはできない」と述べた。
ギャップ社で最も急成長をしているブランド「アスレタ」は、約100の出店と卸売業者とのパートナー戦略で、ブランドの認知度を高める狙いだ。目標は23年までに売上高を10億ドル(約1040億円)から20億ドル(約2080億円)に増やすことだ。
22日の説明会中にギャップの株価は上昇し、終値は前日比13.64%増の21.15ドル(約2100円)となった。またカニエ・ウェスト(Kanye West)の「イージー(YEEZY)」との数年に及ぶパートナーシップにも期待が集まっている。