「カルティエ(CARTIER)」は10月、東京のホテル「エディション(EDITION)」でジュエリーイベント「カルティエ サロン(以下、サロン)」を開催した。同ブランドは2015年からハイジュエリーイベントを東京で開催し、世界中から顧客が来日。今年は新型コロナウイルス感染拡大により日本国内のイベントとしてハイジュエリーはもちろんのことファインジュエリーやウオッチもそろえ、より幅広い層にアピールするイベントを開催した。
会場は3つのエリアから構成され、エントランスにはアイコンの“パンテール”を中心にしたハイジュエリーや新作コレクションの“シュル ナチュレル”などを展示。その他、ダイヤモンドやカラーストーンを使用したジュエリーやウオッチの数々を紹介した。また、メゾンの170年を超える歴史に刻まれたスタイルとクリエイションを物語る“カルティエ コレクション”や過去に生み出したクリエイションを買い戻して販売する“カルティエ トラディション”も特別に展示された。“カルティエ コレクション”の12点は通常、世界でも有数の美術館や博物館などで開催される展覧会でしか見ることができない貴重な作品ばかりだ。その中には、1914年に制作されたメゾンにとって初の“パンテール”モチーフを採用したウオッチや具象化された“パンテール”を施したバニティケースなど、「カルティエ」における”パンテール”の軌跡が読み取れるものも。アートギャラリーのような空間で顧客はゆったりとジュエリーやウオッチ、過去の名品を見て回れるようになっている。
「カルティエ」は日本市場でハイジュエリーを強化しており、国内5店舗で計300点の在庫を常時キープしている。今回のイベントではハイジュエリーを中心とした500点以上のジュエリーやウオッチが集結。全国から顧客を招待し、各顧客にアテンドできるよう商談ルームも多く設置した。奥にはラウンジスペースがあり軽食やドリンクのサービスを提供。サロンやラウンジの入り口では赤い制服に身を包んだお馴染みのページボーイが「ボンジュール、マダム」と挨拶してくれる。以前は国立博物館などで大々的にイベントを開催していたが、今年は日本に初上陸したブティックホテルを会場に選ぶことで、特別感をキープしつつも、より軽やかな雰囲気のイベントになった。新型コロナウイルスの影響もあり、同イベントに来場できなかった顧客に向けてデジタル商談も実施。夏に実施したウオッチのデジタル商談会をさらに進化させ、専属のカメラマンを起用して、モデルに着用させることでボリューム感や着用イメージを伝えやすく工夫した。コロナの影響で多くのジュエラーがデジタル接客を始めており、どんどん進化している。
通常、多くのジュエラーが新作ハイジュエリーを7月オートクチュール・ファッションウイーク中に発表するが、今年はコロナの影響で発表イベントを行ったジュエラーは少なかった。しかし、10月に入ってから東京で各ジュエラーのハイジュエリーイベントが開催されている。富裕層の多くにはショッピングや旅行などの娯楽の年間予算がある。コロナで海外旅行も海外でのショッピングもできないため、その予算を高額なジュエリーやウオッチ、車などに充てる富裕層が増えている。日本市場におけるハイジュエリーへの需要の高まりはまだまだ続きそうだ。