「WWDジャパン」をはじめ雑誌・広告の分野で活躍するフォトグラファー小田駿一が、緊急事態宣言下(4〜5月)の東京都心の夜の街並みを撮影・記録した写真集「ナイト・オーダー(NIGHT ORDER)」をこのほど出版した。4月から作品制作に着手するとともにクラウドファンディングサイトの「マクアケ」で資金を募集し、約250万円に達したため限定部数での刊行に至った。
A4版全128ページの写真集には、平時はにぎわっているはずの新宿や渋谷、上野といった街の飲食店街が、ひっそりと静まり返った様子を収めた写真が並ぶ。一冊に通底するテーマは、未曾有の状況の中で一斉自粛を守る人々の「秩序」、経済的に逼迫する中で店を閉めた飲食店の「覚悟と決断」、それぞれの美しさを切り取ることだ。
制作に当たっては、装飾を削ぎ落として淡々と切り取る報道写真としてのアプローチと、街の持つパワーを浮かび上がらせるようなエモーショナルなアプローチの融合を目指した。「緊急事態宣言下では、事実として夜の街に人は存在しなかった。一方で、人が残したネオンや照明といった光は街並みを彩り、照らしていた。人のいない東京の街にある、確かな人の存在と残像を、そこから写し取ることを意識した」(小田氏)。
小田氏は、自身の「ノート(note)」で、今回の企画の経緯についてこう綴っている。「アナログからデジタルへ、雑誌からウェブへ。情報の利便性が増す一方で、写真が消費される速度がどんどん早くなっているのを感じる」。そんな問題意識から、「10年後、20年後も残しておきたいと思える作品を撮りたい」との思いが芽生えたという。
価格は8000円。公式ECと、都内を中心とした一部の書店で、200部限定で販売する。
取扱い書店は以下の通り。
銀座 蔦屋書店(東京・銀座)
小宮山書店(東京・神保町)
青山ブックセンター(東京・表参道)
二手舎 東京/京都(東京・世田谷/京都市)
文喫(東京・六本木)
BOOK AND SONS(東京・目黒)
C7C gallery and shop(名古屋)
shashasha(東京・渋谷)
百年(東京・吉祥寺)
タコシェ(東京・中野)