ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は2021年春夏コレクションのデジタルプレゼンテーション発表直後に、英紙「ガーディアン(THE GUARDIAN)」や伊「ヴォーグ(VOGUE)」、英百貨店ハロッズ(HARRDS)など各国のメディアやバイヤー約80人に向けてオンラインカンファレンスを開催した。カンファレンスは、それぞれの参加者が直接ステラに質問を投げかけ、ステラが答えるというラウンドテーブルスタイル。約1時間のカンファレンスで、際どい質問に対してもステラは終始リラックスムードでユーモアを交えながら返答した。その内容を紹介する。
――先日発表したAtoZマニフェストの意図について教えてほしい。
ステラ・マッカートニー(以下、ステラ):私たちがこの理念に基づいて一定のルールの下でデザインができるようになることはもちろん、人々も私たちが取り組んでいることをより簡単に理解できるようになる。今、“グリーンウォッシュ”がまん延していてかなり混乱していて、私も、サステナブルとはどういう意味なのか分からなくなることがあるわ。
――サステナブルの意味が分からなくなるとは?サステナブルに代わる言葉はある?
ステラ:それこそが、このマニフェストを作った理由の一つ。言葉が何を意味するのかを明確にしたかった。例えばVはヴィーガンとしたけれど、私たちは「何をもってヴィーガンか」とよく聞かれる。それを明確にするための新しいデザインや、それを実現するための全く新しい方法を模索中よ。私でさえ「なんでこっちのバッグはヴィーガンでこっちはベジタリアンなの?両方ヴィーガンでしょ?」と思うことがある。でもその質問に対して突き詰めるとベジタリアン向けの接着剤とヴィーガン向けの接着剤があり、その違いはベジタリアン向けのものは卵白を使っていたりする。でもこれって誰も話さないことでしょう?
いわゆるレザーバッグは、畜産、革、大量の薬品と水、電力を要し、皮を剥ぐためにいいとは言えない作業もある。通常バッグや靴に用いられる接着剤も動物性で、骨やその他のものから作られている。私たちは皮革はもちろん動物性接着剤も使わない。サステナブルであることの証明もできないのに人々が過剰にサステナブルという言葉を用いるのを見るのは少々疲れるわね。だから私は私たち「ステラ マッカートニー」がもたらしたポジティブ面とネガティブ面の両面を見ることに努めて、その変化を計測している。そして私はビジネスウーマンとしてブランドをどうやってよりよくできるかを常に考えているわ。
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