百貨店主要5社の2020年10月度業績は、おしなべて前年同月とほぼ同水準を維持した。うち2社は久方ぶりのプラスに転じた。要因は、前年が消費増税や大型台風襲来によるマイナス影響を受けたことによる反動増。前々年対比では約1〜2割の減収だった。催事の一部再開などにより、低迷が続いていた都心店も緩やかに回復の兆しを見せ始めるなど、好材料もある。
各社の業績(カッコ内は前々年同月比)は、三越伊勢丹が前年同月比2.8%減(約2割減)、高島屋が同1.9%増(17.5%減)、大丸松坂屋百貨店が同3.7%減(17.0%減)、そごう・西武が同6.3%増(14.7%減)、阪急阪神百貨店が同2.8%減(9.0%減)だった。
都心店において、規模を限定しながらも再開している人気催事が一定の集客につながっている。阪急阪神百貨店の阪急うめだ本店は「英国フェア」を復活し、オンライン販売も絡めて売上高は計画通りに推移。同店の免税を除いた売上高は前年同月比15%増だった。「北海道展」の復活などが客数増に寄与した三越伊勢丹も、伊勢丹新宿本店が同1.0%増、三越日本橋本店が同4.2%増と両本店でプラス。高島屋も横浜店(同5.2%増)、日本橋店(同17.6%増)、京都店(同1.2%増)など一部の大型店で増収を確保した。
カテゴリー別に見ると、大型店では高額品の強さが際立つ。大丸松坂屋百貨店、阪急阪神百貨店ではラグジュアリーブランドが同2ケタ増、三越伊勢丹でも特選、宝飾・時計などの高額品が「堅調」(同社広報)に推移した。「客足は都心店でも緩やかな回復基調にあるが、一定数の優良顧客の底堅い需要に支えられている部分が大きい。そういったお客さまがオンライン・オフライン問わずストレスなくお買い物できる環境づくりが、今後一層大事になる」。
一方、衣料品やインバウンドの穴が埋まらない化粧品は低調が続く。三越伊勢丹の両本店(伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店)は婦人服が前年同月比3.8%減、紳士服が同5.7%減、化粧品が同16.0%減。高島屋も婦人服が同7%減、紳士服が同17%減、化粧品が同20%強減だった。