宝石の代表格であるダイヤモンドの背景には、環境破壊や内戦の資金源、児童労働など多くの問題がある。ティファニー(TIFFANY&CO.)によるダイヤモンドのトレーサビリティーへの取り組みを筆頭に、ジュエリー業界でもエシカル、サステナブルな動きが広まっている。ジュエリーブランド「ミオ・ハルタカ(MIO HARUTAKA)」のデザイナーである春高未欧は都内でダイヤモンドの人道的な採掘を支援するNGO「ダイヤモンド・フォーピース(DIAMONDS FOR PEACE以下、DFP)」の村上千恵代表と、双方の取り組みについてトークショーを開催した。
ダイヤモンドというと、宝石のイメージが大きいが、半導体や研磨器具などにも使用される鉱物の一種だ。ダイヤモンドは南アフリカを始め、カナダやオーストラリアなどで大規模な採掘が行われる。採掘量の約2割が西アフリカや中央アフリカの国々では小規模な採掘が行われており、今後増加する傾向にあるという。村上代表は「エンゲージメントリングをもらったときに、ダイヤモンドに関心を持ち、その採掘の実態を知りショックを受けた」と話す。そして人道的かつ倫理的なダイヤモンドの採掘を支援する「DFP」を2015年に設立。リベリアに現地法人を置き、採掘者をサポートしている。村上代表は、「ダイヤモンドのサプライチェーンはクモの巣状態。それをトレーサブルにするのが課題だ」という。リベリアの採掘者のほとんどは小学校も出ておらず、ダイヤモンドの評価ができないのが実情だ。「DFP」は彼らが鉱山の出資者に頼らず自立できるように、副業として養蜂のノウハウを教えている。「収入の安定が心の安定につながる」と村上代表。
春高は、「過酷な労働条件で採掘されることもあるダイヤモンドを扱うことについて葛藤を感じ、ジュエリービジネスのあり方について考えた」という。そこで、ダイヤモンドの採掘に関して何かできることはないかといろいろとリサーチをしたそうだ。そこで「DFP」の存在を知り、村上代表にメールを送ったという。そして、今年4月から売り上げの一部を「D F P」に寄付している。今までに養蜂の巣箱200個を寄付。今後は、トイレの設置などにも寄付するようだ。春高は、「ダイヤモンドは自然が生み出した神からの贈り物。その物語を伝えられるジュエリーを作っていきたい。ジュエリーを通して社会を豊かにするサイクルを生み出したい」と述べた。
ほか、「ハム(HUM)」による「リファイン メタル」プロジェクトによる再生機金属を使用したジュエリーや「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」によるインドの女性自立を支援する目的のインドに学校を建てるための「アイ・アム・ドネーション」プロジェクトなど、日本のジュエリー業界でも、エシカル&サステナブルな取り組みが広がっている。