ビューティ

AYAKOメイクアップアーティストが語る「Nº21」とのコラボの裏側 「透明感と大胆さを両立したメイク」

 アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)が手掛ける「ヌメロ ヴェントゥーノ(Nº21)」は、ブランド設立10周年を記念したプロジェクト「ガラージュ ヴェントゥーノ」を始動した。11月4〜10日に阪急うめだ本店1階コトコトステージ 11、11月11日〜2021年1月31日に同店3階イベントスペースでポップアップを行い、そこで限定のグッズやビューティアイテム、フードをそろえる。
 
 ブランド初のビューティアイテムを手掛けたのは、コスメブランド「アディクション(ADDICTION)」の前ディレクター、AYAKOメイクアップアーティスト。「ヌメロ ヴェントゥーノ」を代表するブラックとヌードをコンセプトにスキンケアとメイクアップ製品5つをセットにした。「アディクション」を離れて約1年のAYAKO氏。最近はクリーンビューティにも目覚め、「ヌメロ ヴェントゥーノ」とのコラボも動物実験を行わないなどビーガン処方にこだわり、またパラベン(防腐剤)も含まないなどできる限りのクリーンビューティを目指した。今回はファッションのブランドのために作るメイクと、これまでとは異なるアプローチでの化粧品作りだが、どのような思いが込められているのかーー。

WWD:今回「ヌメロ ヴェントゥーノ」と協業したきっかけは?

AYAKOメイクアップアーティスト(以下、AYAKO):もともとデラクア氏の服が好きでした。日本で「ヌメロ ヴェントゥーノ」を輸入販売するグルッポタナカの田中タキ副社長と2年前にお会いしたのがきっかけで、昨年、日本でスタートする「ガラージュ ヴェントゥーノ」の話を伺い、ビューティの提案をしたことでスタートしました。

WWD:デラクア=デザイナーの服の魅力は?

AYAKO:セクシーだけれど少しメンズ仕立てになっていたり、ガーリーでありながらハンサムであったり。甘すぎず、モードすぎず、そのバランスが絶妙。また、彼はシアーやヌードの素材の使い方が美しく、服に透明感があるように感じます。透明感がありながら、ボールド(大胆さ)もあって、その相反した使い方が素敵です。

WWD:今回のメイクも“透明感”と“大胆さ”を兼ね備えたコンセプトになっている。

AYAKO:そうです。ブラックにフォーカスしたボールドなコレクションと、シアーヌードを意識したコレクションの二つを作りました。ボールドな黒のコレクションは黒のマットなネイルやリキッドアイライナー、深みのあるボルドーのリップスティックと艶やかな透明のグロスのようなリップエンハンサーなど異なる質感も楽しむことができます。一方でシアーなヌードのコレクションは艶やかなネイルやシアーなリップスティック、肌に溶け込むようなアイ&チークのパウダーやヌードカラーのアイライナーなどをそろえました。彼のコレクションから、肌が透けるくらいのシアーな素材に着想を得ました。この2つのコレクションを並べた時にガラスから見えるネイルカラーと、ヌードとブラックの色が見えるマスクでインパクトを加えました。

WWD:今回、単品ではなくセットにこだわった理由は?

AYAKO:これは新しいアプローチです。常々ビューティとファッションが別々に語られることに違和感を感じていたので、「ガラージュ ヴェントゥーノ」だからこそできる提案を考えました。それはつまり、ファッションのフロアで潔くビューティを提案することでした。化粧品カウンターとは違い、ビューティアドバイザーのいないスペースなのでセットで使えば1つのルックが完成するようなものを作りました。また、ジェンダーフリーに使えるようにもこだわりました。

WWD:メイクだけでなく、スキンケアもセットに入れている。

AYAKO:メイクアップの土台となる肌のケアもできるアイテムをどう入れるか。カウンセリングを必要とせず、全てのスキンタイプで誰もが簡単に使えるもの、それであって魅力的なものにこだわりました。ブラックのコレクションには肌をデトックスするチャコールマスク、ヌードのコレクションは肌をふっくら保湿するローズウオーターのマスクを入れています。

WWD:成分にもこだわり、クリーンビューティをうたっているのもポイント。

AYAKO:今話題のクリーンビューティは私自身、今とても関心があるものです。アイテムはビーガン処方でもちろん動物実験も行っていません。パラベンフリーであることを前提に、物によっては、シリコーンやアルコールフリー、無香料で作るには結構大変で(笑)。試行錯誤を繰り返しました。

WWD:セットにつくバッグもAYAKOさんがセレクトしたもの?

AYAKO:バッグもこだわりました。アーカイブから選んだバッグの縮小版をエコレザーで再現していただきました。化粧品なのでメイクを入れるポーチが通常は定番ですが、今回はファッションブランドとのコラボレーションですから、あえてバッグにしたかったんです。ちょっとランチタイムに持っていけるくらいのサイズで、いろんなシーンで使えると思います。実は製品が入っている外箱もガレージをイメージしてピザ箱のように仕立てたり、細かいディテールにも目を配りました。

WWD:「アディクション」で製品を作っていたときと、今回のコラボの違いは?

AYAKO:クリエイティブの部分では大きな違いはありませんでした。「アディクション」では常に旅をテーマにクリエイションをしていましたが、今回の旅はN21の旅でした。ブランドの世界観や価値観をビューティで表現する旅はとてもエキサイティングで、幸いデラックア氏は快く私のクリエイションやビジョンを受け入れてくれて、とてもスムーズに進みました。ただなんと言っても大きな違いはアメリカでラボを探すところから全て一から一人でやらなくてはいけなかった部分です。ものすごく勉強になりました。

WWD:今後もファッションブランドとコラボしたいと思うか?

AYAKO:そうですね。今回のお仕事は初めてのことも多く、とても勉強になりました。特にコロナ禍での作業だったので、遠隔でのコミュニケーションやサンプル製作など、チャレンジングなこともたくさんありました。今後はファッションに限らず、いろいろなコラボレーションやプロジェクトに挑戦したいですし、クリーンビューティの知識ももっと深めていきたいですね。また、今回の経験で良かったと思うのは、ビューティとファッションをつなげられたこと。以前からビューティとファッションが切り離されて扱われることに違和感を抱いていました。アディクションの前には「ナーズ(NARS)」でインターナショナルメイクアップディレクターという立場で ファッションショーや広告などを手掛けていましたが、同時にストアアピアランスを世界中で行った経験があります。アメリカのカウンターとロンドンやパリ、マドリッドではまた違ういろいろな反応がありましたが共通していたのは、ファッションを基盤にメイクアップの提案をすると、人種に限らず必ず納得してもらえたという経験でした。今回も、大阪の売り場での反応は想像以上で、化粧品カウンターでないからこそ違ったアプローチで提案したことが無条件にお客さまにストレートに伝わったことが実感できました。今後のビューティのあり方に、少しでも新しい道を提供できたのではないかと思います。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。