※この記事は2020年9月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
非常時に強いアウトドアブランド
ファッション冬の時代といわれる中、例外的な存在がアウトドアブランドです。
「ザ・ノース・フェイス」「スノーピーク」「モンベル」などを筆頭に、商業施設からは引っ張りだこ。「WWDJAPAN.com」の「『ららぽーと愛知東郷』にみるアウトドア集中とオフプライスの違和感 小島健輔リポート」でも、新規開業した郊外型ショッピンセンターにアウトドアブランドの店舗が過熱気味に集積されている様子が報告されています。大阪の駅ビルであるルクア大阪は1フロアを丸ごと使ったアウトドアゾーンを9月18日にオープンします。昨年から絶好調のワークマンだって、作業服をベースにしたアウトドアウエアが人気の中心です。
かつてのアウトドアブランドは、ヘビーデューティーに代表されるダウンジャケットやマウンテンパーカ、フリースなど男性の重衣料が代表的な商材でしたが、今はカットソーやパンツ、バックパック、サンダルなど季節を問わずに選ばれるようになり、女性や子供にもすっかり定着しました。登山やキャンプを楽しむ人はもちろん、気がつけば普段着としてすっかり浸透しています。「ザ・ノース・フェイス」のバックパックをスーツに合わせているビジネスマンや、「モンベル」のインナーダウンを冬の必需品にしている人はたくさんいますね。機能的なアウトドアブランドは私たちの普段の生活の選択肢の一つになりました。
これは私の個人的な感想の域をでませんが、アウトドアはかつてのカジュアル市場の主流だったアメカジ(ジーンズカジュアルなど)のポジションに取って代わっているように思えてなりません。特に30〜40代の男性の普段着は定番的なアメカジブランドから、現代的で機能性の高いアウトドアブランドに変わっているのではないでしょうか。作り手が頭の中でこねくり回したブランディングよりも、厳しい自然環境に挑む登山家らが支持する実績の方が説得力を持つ。実際にその機能を体験してみたくなる。
矢野経済研究所が発表したスポーツ用品分野別国内出荷額によると、2020年のアウトドア用品の市場規模(予測)は15年に比べて約1.4倍の2748億円。ゴルフ用品の市場規模を初めて抜きます。
コロナ後も比較的安定成長を予想されます。飛行機などの移動を伴う国内外の旅行、あるいは劇場やスポーツジムなど屋内の娯楽について感染リスクを心配しなくてはいけません。密にならず自然の中で非日常感を味わえるアウトドアはレジャーの受け皿として期待されているのです。
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