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デリケートゾーンケアブランド「アイム ラフロリア」を展開するメリア 幼なじみで共同代表の2人に起業への思いを聞いた

 「もっと自由に」「一人一人が自分らしく輝ける毎日を」をビジョンに、2017年、メリア(Mellia)を立ち上げた原由記代表と和田由紀代表。18年9月にはフェミニンケアブランド「アイム ラフロリア(I’m La Floria)」をスタートし、デリケートゾーンケアの習慣化に向けて啓もうする。20年9月には累計約3億円の資金調達を実施し、D2Cの第一人者である佐々木康裕タクラム・ディレクター兼ビジネスデザイナーを社外取締役に迎えた。オウンドメディア「マイミューズ(my muse)」を立ち上げて発信にもさらに力を入れながら、D2Cブランドとして事業を推進する。「ゆき」という同じ名前で幼なじみ。Wゆきさんに起業から約3年、キャリアの異なる2人がタッグを組んだ理由や、デリケートゾーンケアに注目した理由について話を聞いた。

作り手が見えるプロダクトづくりで

女性の背中を後押しする

WWD:一見すると異色のコンビにも見えるお二人ですが、ともに起業した経緯を教えてください。

原由記代表取締役CEO(以下、原):実は和田とは30年来の友人なんです。徳島県出身で、同じ名前で、学校は違っても習い事のバレエを通じてほぼ毎日一緒に過ごした時期もありました。大人になって漠然とですが「いつか一緒に何かやりたいね」と話していましたが、それぞれ別の道に進んだんです。私は化粧品メーカーで商品開発やプロモーションに携わり、ヘアケアやボディーケア、シートマスク、歯磨き粉などさまざまなカテゴリーを手がけてきました。

和田由紀代表取締役CEO(以下、和田):私は外資系の証券会社で営業の仕事をしてきましたが、次のステージに踏み出したいと考えていることを原に話したところ、「そろそろ一緒に立ち上げる?」という話になりました。自分も原も約10年間会社員として仕事をしてきてやり切ったという思いもあり、タイミングも合致しました。会社を立ち上げるときに、どちらかのバックグラウンドを生かしたほうが経験をもとに成功できるはずと考えて、原がヘアケアやボディーケアを手がけてきたことから、プロダクトを通じて女性に寄り添いチャレンジのきっかけになるような会社づくりを目指すことにしました。お互いにやれることが全く違うので非常にバランスがよく、私はプロダクトの販路をはじめとした営業面や、資金調達といったファイナンス面での経験が生きています。

WWD:メリアは女性のエンパワーメントというメッセージ性も非常に強いですよね。

原:化粧品メーカーでは社内も自分が率いているチームも圧倒的に女性が多く、ホルモンバランスの変化による気持ちの浮き沈みや生理による体調不良などが仕事に影響を及ぼすということをよく感じました。そういった心身が不安定になりがちな女性に寄り添えるようなセルフケアプロダクトの開発を女性目線でしたいとかねてより考えていました。

和田:私は前職で管理職の方と仕事をする中で、子育てをしながら働いている私自身の働き方について聞かれることが度々ありました。年齢による制約や子どもがいることで能力を十分に発揮できないというような固定観念に囚われている人が多くてもったいないと思っていました。そういったことから真の意味で働き方改革や女性のエンパワーメントといったきっかけになれるような会社を作りたいという思いもありました。私たちが起業して奮闘している姿をみなさんに見てもらうことも、「私もがんばってみよう」という気づきになるのではないでしょうか。

デリケートゾーンケアを

歯みがきぐらい当たり前の習慣に

WWD:「アイム ラフロリア」をスタートした18年の時点では、デリケートゾーンケアはまだまだ耳慣れないカテゴリーでした。その中で注目したのはなぜですか。

原:ベンチャー企業としてどこのマーケットに注力するべきかを考えたときに、市場が小さく大手が進出していないカテゴリーのほうが、付加価値をつけて広げることができ、勝ち目があると考えました。また10年間ものづくりをしてきましたが、自分が使っている商品をどのような人が作っているのか気になっていました。女性向けの商品を男性が開発していることも多く、女性の気持ちにもっと寄り添って作れたらと。女性ならではの悩みが多いデリケートゾーンケアというカテゴリーでは、私たち女性が作っているというストーリーとともにプロダクトを届けることができれば、もっとこの市場は広がるはずと考えました。

WWD:デリケートゾーンケアを取り入れてもらうためにどのような工夫をしましたか。

原:「アイム ラフロリア」の立ち上げ当初はマーケットが小さく、デリケートゾーンケアという習慣をどう広げていくかを考えました。欧米では当たり前の習慣ですが、デリケートゾーンだけのケアは日本人にはなじみがなく、「効果的なケア方法が分からない」「めんどくさい」「恥ずかしい」という理由から、8割の人がしていないという現状がありました。そこでボディーウオッシュとして、毎日ケアをする中で“デリケートゾーンまでケアができる”という訴求方法で、“デリケートボディウォッシュ”を開発しました。

和田:ボディーに2種類使うのって結構面倒ですよね。せっかく手にとってもらっても、週に1回しか使わないようになってしまうのはもったいない。だからこそ泡立ちが良く1本で全身を洗える仕様にこだわって、毎日使ってもらうことでデリケートゾーンケアを歯磨きぐらい習慣化させたいと思いました。

原:また、若い世代のほうがデリケートゾーンケアに取り組みやすいのではないかとも考え、携帯しやすく外出先でもサッと使用できる“フレッシュクリアシート”を作りました。この2アイテムからスタートし、その後店頭で販売する中でお客さまの悩みを聞いたところ、保湿・乾燥が気になるという声が多数あったので“デリケートボディクリーム”を発売し、ラインアップを拡充していきました。

WWD:百貨店やセレクトショップなどリアル店舗はもちろん、D2CブランドとしてECでの販売にも注力していますね。

和田:私たちは、ブランドはお客さまとともに作り上げるものと考えています。お客さまのことを「ミューズ」と呼び、店頭やアンケートなどで声を拾いながら、黒ずみや乾燥、かゆみといった悩みに寄り添うために商品を増やしていきたいと考えています。百貨店やセレクトショップでの店舗販売からスタートしたのは、世界観を直接感じてもらうことでよりファンになってもらったり、生の声を拾うことでユーザーに寄り添ったもの作りにも繋がります。その次の段階ではD2Cブランドとして、より多くの人の手に届くようにECでの販売や定期便を行い、リアルとデジタルの両輪で進めています。現状はリアルが7割、ECが3割ほどですが、デリケートゾーンケアアイテムを購入することは恥ずかしいと思うことや、そもそも専用のケアが必要だと知らないという人もまだまだいるので、ストーリーやビジョンに共感してもらった上でECでの購入につながったらとも思います。

原:お客さまがどのようなものを求めているのかを直接知るためにも、コミュニケーションを取れる場所をたくさん作っていくという意味でもECは効果的です。買っていただいたあとも並走できるのはD2Cの良さですよね。LINEの公式アカウントや、インスタグラムのDMでコミュニケーションを取ることも、タッチポイントは多ければ多いほど、ブランドとして会社としての成長につながります。

WWD:「アイム ラフロリア」のユーザーの年齢層は?

原:顧客データでは20代、30代が7割を占めていますが、年齢によって悩みも変わりますし、年齢は単なるナンバーなのでターゲットを年齢で区切ることはしていません。悩みを解決して一歩を踏み出したいという人も、単に“パーツケアしているなんておしゃれ”という感覚でも、きっかけはどちらでも良いんです。何かしらわれわれのビジョンやプロダクトに共感してくださる人はみんなお客さまなので、年齢で区切るというような固定観念は持たずに発信しています。

デリケートゾーンケアから

性教育、ウエルネス、SDGsについて考える

WWD:最近ではタレントや芸能人など著名人がデリケートゾーンケアや性教育について発信することも増えてきましたよね。

和田:私の娘が8歳と9歳なのですが、毎日「アイム ラフロリア」のボディーウオッシュを使っているので、性の話も恥ずかしがらずに聞いてくれますし、自分からも話してくれます。顔よりも繊細な部分であることや、なぜ専用のアイテムが必要なのかをプロダクトを通して自然と話すきっかけを作ることができます。ゆくゆくは小学生に向けたエデュケーションプロダクトみたいなスターターキットも構想しています。

WWD:10月にはオウンドメディア「マイ ミューズ」をスタートしましたが、狙いは?

和田:セクシャルウエルネスのプラットフォームにしていきたいです。メリアのミッションでもある「もっと自由に」「一人一人が自分らしく輝ける毎日を」を軸に女性の生き方が一人一人違うということを応援するような一貫性のあるポジティブな発信を心がけています。コンセプトに“マイピンク マイチョイス”を据えていますが、マゼンタやコーラル、ベビーピンクというようにピンクは1色ではありません。セクシャルウエルネスからエンパワーメント、さらにはSDGsまで自分らしい選択をするために知っておきたい情報を届け、意志と知性で自分らしい選択ができるように後押ししたいんです。

原:「メリア」という社名は、フラワーアレンジメントの言葉で1枚1枚の花びらを束ねて1輪の大輪の花にするという手法の一つからとっています。それぞれが輝くことで一人ではできない大きなことが実現できます。「マイミューズ」の理念に共鳴するライターや読者、そして制作スタッフが重層的につながることもねらいの1つです。コンテンツの1つとしてポッドキャストもスタートし、毎回テーマを変えながら女性のエンパワーについても発信します。

和田:プロダクトではサポートできない部分を「マイミューズ」で発信していきます。「アイム ラフロリア」同様、いろいろな人と共に作り上げていきたいですね。そうすることでコミュニティーができてみんなが自分らしい魅力に気づける場所になれば良いと思います。

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