最近、クリーンビューティという言葉を耳にする機会がますます増えた。先週は4年前にブランドを売却したボビイ・ブラウン(Bobbi Brown)氏がクリーンビューティブランド「ジョーンズ ロード(JONES ROAD)」を始動したニュースが飛び込み、日本でも資生堂の「バウム(BAUM)」やエキップの「アスレティア(ATHLETIA)」など、クリーンをテーマにしたブランドが次々と誕生している。(この記事はWWDジャパン2020年11月9日号からの抜粋です)
これまでも「WWDビューティ」や「WWDJAPAN.com」ではクリーンビューティについて何度も取り上げてきたが、簡単にまとめると体や環境に配慮し、かつエシカルな考えで作られている化粧品を指す。オーガニックやナチュラルな化粧品との違いは、必ずしも天然由来の成分を配合する必要がないこと。「安全で環境や健康に配慮していれば、ケミカルな成分を配合する」と考えるブランドが多い。注意すべきはクリーンビューティにはオーガニック化粧品のように認証制度や明確な定義がなく、各社が勝手に掲げているものだったりして、言ってしまえば無法地帯でもある。
クリーンビューティを否定するつもりはない。むしろ、サステナビリティやインクルーシビティ、透明性は今取り組むべきことで、消費者が求めているものでもある。そのため、こういった動きが活発になっているのは素晴らしいことだと思う。しかし、これだけ急増するクリーンビューティブランドを見ていると、マーケティングのために安易にクリーンビューティとうたうブランドもあるのでは、と疑ってしまうことも。また“クリーン”という言葉自体が肯定的なニュアンスが強いために、そうでない製品やブランドが全て“悪”のように捉えられてしまうのも懸念点だ。化粧品について啓もうするブログ「ザ エコ ウェル(THE ECO WELL)」のジェン・ノヴァコヴィッチ(Jen Novakovich)は「クリーンという言葉に問題がある。企業は都合のいいように“われわれはクリーンです”といくらでも言えてしまう。そうするとクリーンでない製品を使う消費者にある種の罪悪感を抱かせてしまう」と言っていたのが印象的だ。
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