2020年4~9月期(国際会計基準)で最終赤字110億円を計上したワールドは、下期(10月〜21年3月)において、収益の柱であるブランド事業の粗利改善に取り組む。
4〜9月期はコロナ禍の影響に苦しむ中、社員の一時帰休、秋冬物仕入れの30%カット、店舗改装計画の凍結などでキャッシュの流出を抑制。5ブランドの事業終息と300人以上の規模のリストラなど構造改革にも着手した。ただ、屋台骨のブランド事業は店舗休業による在庫過多で消化を優先せざるを得なくなり、値引き販売が増加。粗利益率は8.0ポイント悪化した。日本基準の営業損益に相当するコア営業損益は83億円の赤字(前年同期は69億円の黒字)に沈んだ。
一方、10〜3月期の既存店売上高はコロナ以前の18年10月〜19年3月期と比べて15%減を想定する。当初は秋冬物の仕入れを30%削減で進めてきたが、店頭の回復を考慮して18%削減に修正した。4〜9月期の売り上げの趨勢や仕入れ削減に照らせば、既存店売上高の想定は「相当にチャレンジング」(同社)としながらも、正価販売による粗利改善に軸足を置く。
具体的なテコ入れの方向性はこれから固めていく段階だが、鈴木信輝社長は「消費環境が本質的に大きく変わる中で、ブランド事業をリセットする。変化できない企業は生き残れない」と強い覚悟を示す。21年春夏は、期中生産など取り入れつつ、仕入れは2年前と同水準に戻す。川上では、すでに数種類の生地からさまざまな色柄を生み出す技術・生産プロセスにより「ロスが出ない生産モデル」の開発・実験を進めているという。
近年の収益構造を下支えしてきたデジタルとプラットフォーム事業などの非アパレル分野においても、再成長軌道に乗せるべく凍結していた投資を一部再開する。デジタル事業においては自社ECの「ワールド オンラインストア(WORLD ONLINE STORE)」を強化する。4〜9月期において増益を確保したプラットフォーム事業では、アパレル企業以外への営業も強化する。