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コロナ下にオフプライスストアは有効か エディターズレター(2020年9月24日配信分)

※この記事は2020年9月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

コロナ下にオフプライスストアは有効か

 誠に勝手ながら、オフプライスストアはこのコロナ禍下でも比較的好調な業態なのではないかと思っていました。

 ところが、センチュリー21が破産法適用申請です(最初のリンク参照)。1960年代にニューヨークのマンハッタンに店舗を構えて創業。オフプライスストアの先駆け的存在として、ブランド品も含めてファッションやインテリアをバーゲン価格で提供して人気を集めてきました。このコロナ禍で在庫を多く抱えてしまったアパレル企業がその処分先としても活用するでしょうし、少しでも安くファッションアイテムを買いたい消費者にとっても重宝な業態だと考えていました。

 特にアメリカのオフプライスストア業態は歴史もあり、ECが台頭して小売企業の勢力図が変わった中でも、景気の低迷も追い風にしながら、ずっと成長し続けていました。

 なぜセンチュリー21は破綻したのでしょうか。彼らはコロナ禍による事業休止で受けられるはずだった約185億円もの保険金が支払われなかったことを原因の1つとして挙げていますが、間違いなくマンハッタンの売り場面積2万平方メートルの旗艦店をはじめとする13店舗の家賃が重かったでしょう。また、ECはあっても店舗での売り上げが大きかったため、ロックダウンの影響が大きく、店舗が再開しても観光客の姿もなく、以前の賑わいにはほど遠い状態だったとされています。

 そして極めつけが「生活維持に必要不可欠である“エッセンシャル”な業種ではなかった」ということです。

ECサイトを見ると「カルバン・クライン」のパテントウェッジパンプスが半額以下だったりと、まだまだ“お宝探し”は楽しめそうですが、コロナ禍であえて買うかと問われると……。センチュリー21はデザイナーズブランドやドレスアップアイテムが人気を集めていたこともあり、いくらお買い得でもコロナ禍下の需要にマッチしなかったことも大きかったのでしょう。「お買い得であれば売れるのではないか」は非常に甘い考えなのだなと、実感しました。

 気になったので米オフプライス企業、TJXカンパニーの最新決算も見てみました(参照記事がなくてすみません!)。「T.J.マックス」や「マーシャルズ」を米国内だけで3000店以上運営している年商4兆円超の最大手ですが、2〜7月期決算の売上高は42%減で1100億円の赤字を計上しています。なかなか厳しいですね。

 直近5年間、連続で7%以上で成長して“絶好調”だった同社の存在が、少なからず最近の日本におけるオフプライスストア開発を後押ししていると思うのですが、その強さはこのコロナ禍下で今後発揮されるのか。注目していきたいと思います。

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