ビューティ

言葉を大事にしたスキンケアブランド「イカウ」を立ち上げた白濱イズミとは誰か? そこに込めた思い

 白濱イズミがプロデュースするスキンケアブランド「イカウ(IKAW)」が公式ECサイトを立ち上げ、デビューした。第一弾商品の“スキンケアオイル”(60mL、6270円税込)は、最もバランスが良いとされる22歳の肌にある皮膚構造成分を植物由来で再現したオイルで、顔や体、髪にとマルチに使える。白濱イズミとは、タレント、表現者として活躍するラブリのこと。白濱イズミで挑むビューティについて、また子どもが生まれて“今”思うことについても聞いた。

WWD:スキンケアブランド「イカウ」を作った思いは?

白濱イズミ(以下、白濱):私はこれまで、言葉を書いてきました。例えば、本だったり、エッセーだったり、時には音楽だったり、言葉のさまざまな面を形に変えて伝えているんです。それで今回は、ビューティアイテムに変えてみたんです。

私は言葉を発信する側ですが、受け取る側の人によっては音楽から言葉が入ってくる人もいれば、映画から言葉を受け取る人もいるし、それが本であることも。言葉だけでは伝えられないことがあると思っています。日常の中で、触れられるもので表現できたらいいなあと思ったんです。

WWD:それが今回はビューティだったんですね。

白濱:私自身、女性にとっても言えることですが、肌がきれいになる、ならないって、心の変化につながると思うんです。肌がきれいになるだけで、余裕が生まれて誰かに優しくなれたりとか、関心がなかったことに対して関心が生まれたり。心に余裕ができると自分の感覚の中にスペースが生まれる。余白が生まれるという感じでしょうか。スキンケアでその人自身から変化が生まれるといいなと考えて、今回のブランドを作りました。

WWD:確かに、スキンケアアイテムはモノでありながら、人の心を動かす、変化を与えられるモノだと思います。そこで最初にオイルを選んだ理由は?

白濱:例えば、化粧水だと化粧水の使い方だけでしか、クリームだとクリームの使い方でしかアプローチができません。オイルは、その人の使い方になじむものと考えます。「イカウ」も使い方は一つじゃない。顔や髪、自分が気になるところ、胸の周り、デリケードゾーンにも使えます。これを使ってあなたの生活、スタイルに合う使い方をしてもらえたらいいなという思いを込めています。

WWD:OEMメーカーはオリオン粧品工業ですね

白濱:原価やコストを抑えることを考えると、海外などを活用する方がいいと思いますが、自分の目の届く範囲でモノづくりをしたくて国内生産にこだわりました。

WWD:最初にオイルを選んだ理由は?

白濱:だたオイルだと、どこにでもあるようなオイルになってしまいます。オリジナリティーとして、ベタつかない、軽い感覚にこだわりました。オイルってどうしても重たさがあって。塗ってすぐに出かけられないし、夜に使うモノ、という印象になりがち……。デイリーに使えて、夏でも使えて、すぐに作業、仕事に取り掛かれる軽さ。それを表現したいと思っていました。

「ラブリで出すと、ラブリとしての私が立ってしまう」

WWD:今回、ビジュアルや映像にもこだわっていますね。写真家の嶌村吉祥丸氏が撮影し、映像は夫である米倉強太氏が担当しました。普通の化粧品のビジュアルでは、肌が綺麗に見える画像や映像ですが、「イカウ」は肌の雰囲気を演出しているというか、イメージというかかっこよくもあるし、自然な感じがします。

白濱:「イカウ」はビューティぽさをなくしたかったというのではないですが、私が作る意味を考えると、ビューティブランドなんですが、自分らしいビューティぽさの表現を選んだんです。今回、私がビジュアルに出なかったのも、ブランドよりも先に、ラブリとしての私が立ってしまう。それではダメというか、私は後ろにいて「イカウ」という作品がちゃんと前にありたいと思ったからなんです。

ブランド名の「イカウ」は、(もう一つの母国である)フィリピン語で、日本語で「あなた」という意味を持ちます。「あなたに」というところに、私が登場しちゃうとごちゃまぜになってしまうと思って。あくまでも「あなたに」対するという意味を込めています。

WWD:オイルのパッケージは一般的に瓶の採用が多いというのもありますが、重い印象になりがちですが、「イカウ」はさらっとした見た目で、オイルっぽさがないですよね。

白濱:ビューティアイテムを作るぞ!っていうのがないというか、すごくフラットに考えて作っているんです。使う人が使いやすい、日常の中のどこにいても使いやすいオイルを考えてこういうスタイルにしました。外箱も内側に空の模様を描いたのですが、最初はそれが外でもいいのかなあと思ってたんです。でも受け取った人が開けた時に、ちょっとふわっとした気持ちになるというか、プレゼントという感じで内側にしました。

WWD:作っているときに失敗したことはありましたか?その解決策は?

白濱:ボトルのキャップの色ですね。本当は違った色にしようと思っていたんですが、間違った色が出来上がってきたんです。でもそれがいいねってなって。実際はもう少し本体となじむ感じをイメージしてたんです。今のピンクっぽいのはメリハリがあっていいかもねと決まったんです。

妊娠中にスキンケアの延長線で子どもと触れ合える

WWD:私生活ではお子さんも誕生し、生活はもちろん変化したと思いますが、価値観も変わりましたか?

白濱:「イカウ」は、妊娠中に作り続けていて、妊娠しているときでも使えられるテクスチャー、妊娠線にも対応できるようにしたいと思っていました。オイルを塗るときに自分のお腹に触れることにより、奥に赤ちゃんがいることを実感する。ただのスキンケアなんですけど、その延長線上で自分の子どもに触れ合えるという感覚を感じていました。

WWD:神秘的ですね。

白濱:作っているときにお腹に子どもがいたので、「イカウ」も神秘的な感覚を取り入れることができたと思います。香りも妊娠中は敏感になります。爽やかさだったり、軽さだったりを意識して香りも作ったので、妊娠してる私でもこの香り大丈夫だなってなりました。

WWD:心境の変化もあったんでしょうか?

白濱:子どもが生まれていろいろ考えますね。一緒にいるわけじゃないのに、常に娘が一緒にいる感じがあるんです。自分が2人になった感覚というか。一人じゃないって。テンパっていたことが落ちつて考えられるようになったというか。感覚が優しくなったというか、丁寧さが加わったような気がします。不思議なんですけどね、穏やかな気持ちです。

WWD:私も子どもがいるのでなんか分かります。生活はけっして穏やかじゃないんですけど、そのなんだか感覚が穏やかになったというか。

白濱:そうそう、生活はそうじゃないんですけどね(笑)。感覚として穏やかな空気が流れているんですよね。

WWD:「イカウ」の次の製品は決まっていますか?今後作ってみたいモノは?

白濱:今、化粧水を作っています。化粧水もオイルの延長線、オイルがベースで、それが化粧水に変化しているという感じでしょうか。姿は違うけど、何かが一緒というのを作ってみたいと思って。オイルを入れて2層式にしてまぜて使うとかを考えていて。3、4月ぐらいに出せたら。サンプルが出きているのですが、とっても柔らかな肌に導いてくれるんです。

ビューティブランドだけど感覚を超えた一つの表現が「イカウ」

WWD:今後の目標について教えてください

白濱:「イカウ」は、イカウという場所があってその中で自分の言葉だったり、写真や映像、音楽だったり、いろんなものを毎回組み合わせて、さまざまな形で「イカウ」を見せられたら。ビューティブランドなんだけど、ビューティの感覚を超えた、表現の一つであったらいいなと思っています。

私自身は、「イカウ」がありつつ自分の言葉というものをいろんな形に変えて、本でも、お母さんになったから子どものモノだったり、お母さんにモノだったり。誰かのためになるモノ、誰かの生活の中に意味のあるモノを生み出せたらいいと思います。

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