※この記事は2020年7月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
業務が作業に変わる恐怖
「ブルックス ブラザーズ」の破たんに次いで、「ザ・ロウ」が大規模リストラに着手。かつての「ルイ・ヴィトン」メンズのトップ、ポール・エルバースもブランドを去るようです。
アメリカ企業の艱難辛苦は、まだまだ続きそうですね。無論、個別の企業やブランドにも問題はあったでしょうし、新型コロナウイルスの影響はどの国より顕著だと思いますが、こうなると市場そのものの問題、もしくは築き上げてしまったファッション・システムの問題とも言えそうです。
最後にアメリカを訪れたのは、今年の2月。ニューヨークではなく、ロサンゼルスでした。破たんしたバーニーズ ニューヨークのビバリーヒルズ店に行き、NY同様のカオスに衝撃を受けました。中でも一番ショッキングだったのは、のちにブランド終了が報じられた「シエス マルジャン」の同じ洋服が、90%オフになってなお、色違いもあるとは言え10着単位で売れ残っていたこと。「簡単に売れる洋服ではないのに、こんなに大量に。ナゼ?」。考え始めたらキリがなく、「数の論理」や「内輪ネタ」「パワーゲーム」「肥大」「作業」などなど、自戒も込め、さまざまな反面教師的教訓を心に刻みました。もういずれも、通用しないモノばかりですよね。
中でも今、一番危惧するのは「業務が作業に変わること」です。ここでは「業務」には思考が伴い、「作業」にはそれが伴わないと考えてください。「業務が作業に変わる」って、本当に恐ろしいこと。今はそれに気付いた瞬間、内容なのか人なのかアプローチなのか、なにかを変えなければと思っています。
冒頭のアメリカに話を戻すと、アメリカン・ファッションは全体として、システムを巨大化させる作業にまい進してしまったのではないか?なんて考えます。日本は、同じ道を辿っちゃいけない。常々「アメリカは、日本の3年先を体現している」と思ってきたからこそ、そう思うのです。
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