三越伊勢丹ホールディングス(HD)は11日、2021年3月期の最終損益が450億円の赤字(前期は111億円の赤字)になりそうだと発表した。7月発表の600億円の赤字予想からは改善する。子会社の三越伊勢丹不動産の譲渡による関係会社株式売却益71億円を特別利益として計上するほか、販管費の削減の積み増しで、赤字幅が150億円縮小する。
売上高は前期比27.7%減の8150億円(7月発表の予想は8230億円)、営業損益は330億円の赤字(同380億円の赤字、前期は156億円の黒字)に修正する。コロナによる消費減退で売上高の増加は見込めないものの、宣伝費や催事の縮小などコストの見直しでカバーする。
同日発表した20年4〜9月期業績は、売上高が前年同期比41.8%減の3357億円、営業損益が178億円の赤字(前年同期は138億円の黒字)、純損益が367億円の赤字(同75億円の黒字)だった。4月から5月にかけての店舗休業に加え、それ以降も稼ぎ頭である都心の基幹店の回復が遅れている。売上高は前年同月に比べて、伊勢丹新宿本店が42.4%減、三越日本橋本店が41.7%減、三越銀座店が63.5%減だった。三越銀座店は例年であれば免税売上高が約35%を占めるため、訪日客の蒸発で大きな打撃を受けた。
これらの結果を受けて22年3月期を最終年度にした中期経営計画(18年11月策定)を取り下げる。コロナによる消費市場の変化を踏まえた新しい中期経営計画を策定し、21年5月に発表する。