ユニクロ(UNIQLO)とデザイナーのジル・サンダー(Jil Sander)氏によるコラボコレクション「+J」が13日、世界各国の店舗とオンラインストアで発売された。両者は2009〜11年の間にも5シーズン継続してコラボコレクションを発表していたが、今回9年ぶりの販売となった。
アイテムは、ウィメンズに袖の短いパファーダウンやメリノウールを使用したカーディガン、スタンドカラーのストライプシャツなどをそろえた。メンズのルックには、オーバーサイズのワークジャケットやダウンブルゾン、チノパンなど。
サンダー氏はドイツ出身のファッションデザイナーで、1968年に自身のブランドをスタート。ミニマリズムなデザインが人気を獲得した。その後同ブランドを13年に去り、ファッション業界での活動を休止していた。17年にはフランクフルトの応用美術博物館(Museum of Applied Art)で回覧展が開催された。
ここでは、新型コロナウイルスのパンデミックがデザイン制作にどのような影響を与えたか、コラボに関するものからデザイン全般に対する話などを米「WWD」が聞いた。
WWD:ユニクロとの最後のコラボレーションから約10年が経ったが、なぜ今再びコラボをしたのか?
サンダー:「ジル・サンダー」の最後のショーは13年だった。ここ数年ガーデニングや美術館での展覧会の開催などでクリエイティビティーを保っていた。その間もユニクロとは連絡を取り合っており、「+J」を再開する時期がきたと感じた。
WWD:これまでも度々ファッションシーンに戻ってきていたが。
サンダー:戻ってくることが私の運命のようだ。ユニクロとなら、使い捨てで消費されていくファッションに何かアクションを起こせるとわかっていた。ファーストリテイリングの交渉力や国内外の流通ネットワークによって、高品質なデザインを大衆向けの価格で作ることができる。
WWD:ベストセラーになりそうなアイテムや、自分に合っているアイテムの選び方などについてアドバイスはある?
サンダー:コレクションはかなり絞られているが、うまく構成している。1つだけでなく、全体のルックを購入することをお勧めする。また快適に着られるように作られているため、サイズを選ぶ際は注意してください。
WWD:パンデミックによってデザイナーはさまざまな影響を受けているが、あなた自身のファッションへのアプローチや、人々がどのような洋服を身につけたいかについて考えに変化はあったか?
サンダー:もちろん。パンデミックは私たちの頭の中にくっついてデザインに影響を与えた。私はより柔らかく優しさに溢れる、オーバーサーズのアイテムを追求するようになった。しかし全体的なアプローチは変わっていない。着用者の個性を活かすような洗練された3Dデザインを発展させたく、体に沿うようなデザインでアイテムのボリュームを調整した。自信を高め、新たなスタートに備えられるようなスマートで仕立ての良いアイテムを求める気分だと思う。
WWD:最もデザインを楽しんだアイテムはある?その理由は?
サンダー:チェスターフィールドコートかな。コートの作りは常に変化していて、現代の感性に合わせて調整したいディテールがたくさんある。
WWD:デザイナーのイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は、自分で発明したかったものにブルージーンズをあげていた。もしファッションで何かを発明できたとしたら?
サンダー:今ならライトダウンジャケット。20年前にハイキング店で初めてライトダウンを見たとき、これが新しい“毛皮コート”になるだろうと感じた。私は毛皮を軽くしようとデザインをしていたが、ライトダウンが代わりになっていた。生地だけでなく新しい制作方法など、発明を大切にしている。私たちは過去に多くの革新的なアイデアを生んできたと思う。
WWD:ファッション業界のデジタル化が加速しているが、オンラインで買い物をすることはある?
サンダー:オンラインで買い物はしないわ。
WWD:ファッション以外で、デザインしてみたいものはあるか?
サンダー:以前スポーツカーの内装をデザインしたこともある。私の経験と無垢なアイデアをビューティラインで生かしてみたいと思っている。