花王のメイクアップ研究所と生物化学研究所、解析科学研究所は、肌に塗るだけでほうれい線が目立たなくなる新技術を開発した。今後、メイクアップ技術に応用する予定で商品化も検討する。
ほうれい線は目元や額などのシワと比べて深く、たるみからくる影によって目立ちやすい。また、ファンデーションやコンシーラーでカバーすることも難しいことから同研究所は、“塗るだけでほうれい線を目立たなくさせる”メイクアッップ技術に着手した。「ほうれい線を目立たなくさせるには、0.6ニュートン(約61.2g)の力で頬のたるみを物理的に持ち上げることが必要。そこで、肌のたるみを持ち上げられる収縮性、製剤が乾燥したときに塗膜が割れないための柔軟性、肌への密着性にこだわり、これらの特徴を持つあるシリコーン系の疎水性ポリマーにいきついた。その後、肌に塗った際に自然な仕上がりになる薄さにするため、揮発性の高い油剤も加えるなどの処方を行った」と飯田将行研究員。今回見出したポリマーは、水や汗にも強く撥水性もありマスカラなどにも推奨されているという。
使い方は、ポリマーを含む製剤をほうれい線の周りの頬や鼻下に塗るだけ。個人差はあるが、塗布後はほうれい線の深さが約1ミリ浅くなる。さらに、ほうれい線の深さに関係する皮下組織の厚みが0.2ミリ薄くなり、ほうれい線の角度が11.5度広くなり目立ちにくくなるという。
「同技術は、女性だけでなく皮膚に厚みのある男性にも、そして世界中の人の肌でも効果がみられた、まさに“塗る美容整形”。今後はメイクアップ商品の開発に応用してくほか、ゆくゆくは肌のほかのシワや髪の毛にまで拡張できればと検討している」と述べた。