米小売最大手のウォルマート(WALMART)は11月16日、傘下のスーパーマーケット西友の株式85%を売却すると発表した。米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KOHLBERG KRAVIS ROBERTS以下、KKR)が65%を、楽天が新たに設立する子会社を通じて20%を取得する。売却額は明らかにされていないが、今回の取引における西友の企業価値は1725億円と見積もられている。
ウォルマートは2002年に西友との資本業務提携を発表し、08年には西友を完全子会社化して上場を廃止させた。その後、“エブリデー・ロー・プライス(毎日が低価格)”戦略などウォルマート流の売り場作りで成長を目指したものの、日本市場におけるスーパーの競争激化により苦戦していた。
取引は21年前半に完了する予定。西友のリオネル・デスクリー(Lionel Desclee)最高経営責任者(CEO)は、移行期間中は現職に留まり、その後はウォルマートで別の役職に就任する。なお、ウォルマートと楽天は18年にすでに提携しており、楽天と西友の合弁会社を通じて楽天西友ネットスーパーを運営しているほか、米国で電子書籍サービス「楽天コボ(Rakuten Kobo)」を展開している。
ジュディス・マッキーナ(Judith McKenna)=ウォルマート・インターナショナル(WALMART INTERNATIONAL)社長兼CEOは、「西友が日本市場でさらに強い事業を構築するために、最適なパートナーと提携できてうれしく思う。KKRおよび楽天と共に、今後は少数株主として西友をサポートしていきたい」と語った。
ウォルマートは10月にも傘下の英スーパーマーケットチェーン、アズダ(ASDA)の株式過半を英投資会社TDRキャピタル(TDR CAPITAL)に売却している。また11月6日には、ウォルマートのアルゼンチン事業の売却を検討していると発表した。一方で、同社は米オラクル(ORACLE)と手を組み動画投稿アプリのティックトック(TikTok)の米国事業買収に乗り出すなど、デジタル事業の強化を加速させている。