セレクトショップの「ストラスブルゴ(STRASBURGO)」を主幹事業とするリデア(東京都港区、石原秀樹社長)は11月17日、民事再生手続きに入った。負債総額は46億円。同日、ワールドと日本政策投資銀行が共同出資するアパレル専門の投資会社W&Dインベストメントデザイン(以下、W&DID)と八木通商が同社とのスポンサー契約の締結を発表した。出資額、出資比率は非公開。
スポンサー両社が設立する新会社(名称未定)が受け皿となり、リデアの保有するアパレル事業、店舗を含む資産、従業員を引き受ける。有利子負債は承継しない。今後の運営方針は未定だが、店舗の大型化やEコマースの強化などを視野に入れる。W&DIDの田口敬二郎代表取締役は、「ワールドのアパレル事業における経営・財務のノウハウと、八木通商の海外ブランドの導入・育成力の双方が生きる」と話す。
スポンサー契約は、リデアの故・田島淳滋前社長がワールドの寺井秀蔵シニアチェアマンに話を持ちかけたことがきっかけ。ワールドにとっても「当社の事業ポートフォリオにはない、高価格帯の商品を仕入れて売るビジネスモデルと、優良顧客を囲い込んでいる点」をメリットと捉え、支援を決めた。八木通商とリデアに間に長年の取引関係があったことも後押しになった。
リデアは1990年設立。「ストラスブルゴ」は東京、大阪のほか京都、福岡など主要都市を中心に16店舗(アウトレット含む、10月末時点)を構える。また、伊ナポリ発のテーラリングブランド「キートン(KITON)」や伊ニットブランド「クルチアーニ(CRUCIANI)」、英紳士靴「エドワードグリーン(EDWARD GREEN)」、クラシコイタリアの「ラルディーニ(LARDINI)」などを輸入販売している。近年は出店戦略と海外子会社への投資、過剰な仕入れなどにより収益が悪化していた。2019年1月期の売上高は85億円。新型コロナウイルスによる追い打ちで自力での再建が困難となったことから、民事再生手続きの開始を決めた。
W&DIDによる投資案件としては3件目となる。先行事例のセレクトショップ運営のユアサンクチュアリー(17年12月に第三者割当増資による資本提携)、バッグ製造のヒロフ(19年3月に全株式取得)の進捗については「順調」という。「新型コロナの影響もあり、(支援の)案件は日々飛び込んできている。今後も投資対効果が得られるものを見極めながら、厳選投資していきたい」とする。