※この記事は2020年8月14日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
“そんな時”こそ「真実を語って」欲しい
このメルマガで何度かお話した、「レベッカ ブティック」の赤澤えるチャンが新会社「私たちの株式会社」を立ち上げたそうです。「レベッカ ブティック」は、ストライプインターナショナル傘下のブランド。ストライプと決別するワケではなく、ストライプではできないことに「私たちの株式会社」で挑戦する。そんなカンジのようです。
「面白いな」と思ったのは、このニュースの発表方法でした。「私たちの株式会社」はこのニュースを、PR TIMESと赤澤えるチャンのnoteで発表。PR TIMESの文言は極めてシンプルで、「ファッションブランド『LEBECCA boutique(レベッカ ブティック)』の総合ディレクターをはじめ、音楽や映像などの領域でクリエイターとして活動してきた赤澤えるは、この度『私たちの株式会社』を設立いたしました。」だけ。マジでコレだけ。一方、本人のnoteはこれまでの想いなどを存分に語っており、総文字数は8000を超えています(笑)。「共感してくれる人(つまりは「私たち」なのでしょう)には、ちゃんと伝えたい」ーー。本人のそんな思いが透けてみえる気がします。
「ファンにはちゃんと、この想いを届けたい」、逆を言えば「ファンじゃない人には、まぁそれなりに(笑)」くらいの考えは、今から3年前、下のリンク1本目で紹介する「アレキサンダー ワン」のゲリラショーで、「アリだな」と思いました。下の記事をかいつまんで話しますと、ワンはこの時、当初のスケジュールの事前に開くゲリラショーをインスタグラムだけで告知。そっちのショーの方がよっぽど豪華で、対照的にギョーカイ人に広く伝えた当初のショーは「あっさり」終えました。「インスタグラムをチェックしている本当のファンや、感度の高い人にこそ、素敵なショーを届けたい。不快感を示すメディアもあったけれどね(苦笑)」。「あっさり」したショーを見終えた翌日、ブランドのPRがそう話していたのが印象的でした。同じように、「まずは本当のファンにこそ、素敵なコミュニケーションを」と考えるブランドはビューティ業界にも存在し、近々、その概要は明らかになるでしょう。コレも従来の常識を覆す、でも、本質的なコミュニケーションだと思っています。
赤澤えるチャンに「アレキサンダー ワン」、ビューティブランドを見ていると、コミュニティーの作り方を学べそうな気がします。そして、えるチャンの8000文字以上のラブレター(と私は解釈しました)を読むと、やっぱり「真実を語る」「吐露する」、今っぽく言えば「晒す」って、大事なんだと痛感します。
残念ながらブランドの休止や撤退のニュースが相次いでいますが、こんな時も、いや、こんな時こそ「真実を語る」が大事なのでしょう。この手のニュースは、最低限のリリースさえ出ないことも多く、取材しても「コメントできない」と返されることが多々あるのですが、私たちを介さずとも、ブランド側には「真実を語って」欲しい。それが、ロイヤリティーの高い顧客への当然の対応であり、次につながるポジティブな一歩であり、大局的に見れば業界全体の透明性を担保するための1つの手段だと思うのです。その意味で「イッセイ ミヤケ メン」は、立派でした。取材した大塚デスクの「愛」も垣間見えた記事から得た印象は「有終の美」であり、記事内の「新たな可能性」を期待させます。これが「ノーコメント」だったら、記事を読んで得る印象は、だいぶ違ったハズです。
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