三井物産は、第三者割当増資によりメンズスキンケアのバルクオム(東京、野口卓也社長)に出資したと発表した。出資額は非公表。同社の流通事業本部ファッション・繊維事業部による化粧品分野への初めての出資になる。アパレル分野で培ってきた知見と総合商社のネットワークを生かし、バルクオムの海外展開を後押しする。
三井物産の流通事業本部は中期経営計画で、消費市場の拡大する海外マーケットでの展開強化、ミレニアル・Z世代の消費コミュニティへの注力、デジタルメディアを活用したライフスタイル提案を通じたD2C事業の拡大などを掲げている。
バルクオムは全売上高の約70%が自社EC経由で、若い世代から支持されており、デジタルマーケティングを得意としている。これらの特色が中期経営計画との親和性が高いと判断した。総合商社のグローバルネットワークを活用し、素材調達から物流、販売までを一貫してサポートして海外での事業拡大を目指す。すでに三井物産が仲介した中国の販路での取り扱いが決定している。今後は米国や東欧、東南アジアでの展開も視野に入れる。三井物産からスタッフ1人が出向する予定だ。
ファッション・繊維事業部は長年の経験を生かせる領域として化粧品に着目。今年初めに投資チームを結成し、約20社と資本業務提携に向けた面談を重ねてきた。同部の林正夫事業部長は「今回はメンズスキンケアだったが、ミレニアル・Z世代からの支持やデジタル展開といった点に着目し、カテゴリを絞らず次の出資先もすでに検討している」と話す。
「バルクオム(BULK HOMME)」は2013年に“メンズスキンケアブランド世界シェアNo1”というビジョンを掲げスタート。公式オンラインストアを中心に、バラエティショップやドラッグストア、美容室といったオフラインでの販売も強化し、10月からはドラッグストアのマツモトキヨシグループとココカラファイングループの1371店舗での販売を開始している。これまでにもニッセイ・キャピタルや丸井グループなどからも資金調達を実施し、国内でのマーケティング強化やグローバル展開の推進に力を入れている。