※この記事は2020年8月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
この週末は「ザラ」と「日経電子版」アプリを
UI・UXとクリエイティブの両立は、正直なかなか難しいものであります。例えばSP(スマートフォン)で見るウェブメディアの場合、私は、デザインは「WWDJAPAN.com」風と「TOKION」風に大別されると考えています(笑)。乱暴に言えば、前者は全世代に向けた情報サイトの王道で、後者はデジタルネイティブ世代に重きを置いたイマドキのデザインでありUI・UXです。「日経電子版」は「WWDJAPAN.com」風、「MEN’S NON-NO WEB」は「TOKION」風など、多くのメディアは2つのグループのいずれかに属すると思っています。「FASHIONSNAP.COM」は、両者の中間っぽいカンジでしょうか?独特なのは、「新R25」です。
各社・各ブランドが積極開発したり、既存のサービスを利用したりで広がり続けるオンライン買い付けシステムについては、「SSENSE」や「マッチズファッション ドットコム」を思わせるUI・UXを採用するケースが多いように思います。実際、「それを意識しています」という開発担当も多いです。大手ECやプラットフォームはUI・UXを研究し続けているでしょうし、私たちも慣れてきましたよね。となると、多くのデザインがそこに収斂されるのは当然のハナシです。
数年前は、「バーバリー」や「セリーヌ」「フルラ」など、あらゆるブランドのロゴがサンセリフ体の太字に変わり、ニュースに触れるたび私たちは「『バルマン』よ!!お前もか……!?」と、シェイクスピアの悲劇よろしくニュースをお伝えしました。アレなんかはまさに、「スマホの画面の中で、高速でスクロールされちゃうSNSのタイムラインの中で、どんな書体に変えたら視認性が高いだろう?」を考えた末の決断かと思われます。「クリエイティブか?」と聞かれたら、下の記事の通り賛否両論あるでしょう。でもUI・UX的デジタル観点から考えれば「ベター」。ゆえにUI・UXとクリエイティブの両立は、なかなか難しいと思うのです。
そんな中、「やっぱスゴいな」と思うのは、「ザラ」のスマホアプリです。皆さん、最近ご覧になってますか?最近、ちょっとシンプルになった感はあるのですが、それでもなお先鋭的。全画面表示を基本に、モーションてんこ盛り。画面が上下左右から飛び込んできます。正直ありがちなUI・UXに慣れきった人には、多分チョット使いづらい(笑)。でも「これは、未来かもしれない」と思わせてくれるのです。ごくごく一部の消費者に向けたブランドならまだしも、「ザラ」ですからね。「ザラ」が提供するEC体験は、「将来のメジャーになるのだろうか?」なんて考えながら操作すると、Z世代のスマホ使い含め学ぶべきが多いと思います。
メディアの世界では、「WWDJAPAN.com」風なんて生意気申し上げましたが、「日経電子版」の「ビジュアルデータ」というコンテンツに未来を感じます。トップページ下段のタブを、一番右までスクロールしてください。既存のニュースを、クリッカブルなモーション付きで再構築してデータ化。「この1タップで、1PV?」なんて考えながら、イロイロ操作しています。新たな取材はほとんどせずに価値を生み出す挑戦は、編集者としても学ぶべきが多いです。みなさま、ぜひお試しあれ。そして未来を感じるUI・UXがありましたら、ぜひ教えてください。
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