オンワード樫山の「オンワード・グリーン・キャンペーン」は、今年で12年目に入った。全国の店舗で春と秋の年2回、消費者から着なくなった同社の衣料品を回収して、毛布や軍手にリサイクルして国内外の被災地や発展途上国に送り、状態のよいものはリユース販売してその収益を環境・社会貢献活動に寄付する。累計90万7207人の消費者から487万7951点の衣料品を回収した。今年秋からは一部の百貨店と直営店での常時引き取りを始めている。
「オンワード・グリーン・キャンペーン」は09年に当時、同社の執行役員だった保元道宣・現オンワードホールディングス(HD)社長の発案で始まった。売りっぱなしにするのではなく、責任を持って回収し、次に役立てる。今ではアパレルによる循環型の取り組みは珍しくないが、当時はまだ少なかった。服を捨てることに抵抗のある消費者の気持ちを軽くし、来店機会を作ることで新しい服の購入にもつなげる。長年続けたことがブランドロイヤリティを高め、定期的に利用する顧客も少なくない。
回収した衣料品は77%が固形燃料、毛布、軍手などへのリサイクル、23%がリユースとして東京・吉祥寺の直営店「オンワード・リユースパーク」での販売に回る。毛布にリサイクルされる場合は、選別された衣料品の付属品(ボタンやファスナーなど)を外して機械で裁断し、綿状にほぐした反毛綿を紡績した糸で毛布を編む。できあがった毛布は、バングラデシュ、カザフスタンの難民キャンプ、モンゴル、ベトナム、ミャンマー、インドネシアなどの生活困窮者、日本の東日本大震災、中国の四川大地震、ネパール大地震の被災者などに累計3万7500枚が寄付された。