世界最大の毛皮オークションであるコペンハーゲン・ファー(Kopenhagen Fur)が、新型コロナウイルスによるデンマークでのミンクの大量処分を受けて、2023年までにビジネスを終了すると発表した。21年にすでに予定されているオークションを開催後、規模を徐々に小さくしていくという。また、約300人の従業員が人員整理の対象となる。
デンマーク政府は4日、新型コロナの変異種がミンク農場で見つかり人への感染も確認されたことから、国内の養殖ミンク1700万匹の殺処分の強制を命じた。その後法的措置が十分でなかったとの指摘を受けて、メッテ・フレデリクセン(Mette Frederiksen)首相は全頭の殺処分には「新しい法律が必要だった」と謝罪した。
また将来のワクチンの効果を危惧して殺処分に至ったとデンマーク政府は説明しているが、科学的見解を疑問視する声もあり、モーンス・イエンセン(Mogens Jensen)農業担当相は18日、ミンク殺処分を巡る混乱の責任を取って辞任した。なおデンマーク政府は2021年までにペット以外のミンクの飼育を禁止する法案を新たに提出している。
コペンハーゲン・ファーのヤスパー・ラウゲ(Jasper Lauge)最高経営責任者(CEO)は、「残念なことにわれわれのような大きな企業でも、生き残ってはいけない。インターナショナルなクライアント企業もまたデンマーク政府の決断への理解に苦しんでいるだろう。多くの顧客はビジネスモデルそのものをデンマーク産のミンクに頼っていた。それだけわれわれのクオリティーは認められている」と述べた。
一方、動物の権利保護活動を行うヒューマン・ソサエティ(Humane Society)のジョアナ・スウェーブ(Dr. Joanna Swabe)広報担当シニア・ディレクターは、「コペンハーゲン・ファーの閉鎖の発表は、毛皮の生産が転換点を迎えたことを示している。毛皮取引全体が今後衰退していく可能性が高い。毛皮農場は、大規模で不要に動物を苦しめているだけでなく、死に至るウイルスの根元にいつなってもおかしくない」と述べた。