東レは、和紙のように柔らかく、さらっとした心地よさと合成繊維ならではの機能性を併せ持つポリエステル長繊維テキスタイル“カミフ(CAMIFU)”を開発した。
手すきの和紙が持つ質感から着想し、ランダムな凹凸感を発現することで、従来のテキスタイルでは表現しづらかった心地よい触感を実現した。これは、東レの複合紡糸技術“ナノデザイン(NANODESIGN)”を駆使して開発された複雑な空隙を含む糸束構造から生み出されたもの。構成するポリマーの一部に再利用したフィルム屑を使用するなど環境にも配慮した。
石井慎二=東レ婦人・紳士衣料事業部部長は、「約1年前に発表した“キナリ(KINARI)”は天然絹のようなエレガントな感性を重視した素材だが、“カミフ”は当社ならではの技術力を生かしてこれまでにない機能性も兼ね備えている。革新的な技術による先端素材はファッションの可能性を広げ、ライフスタイルを変えることができる。新型コロナの影響で、下期の売り上げは前年と比較して70%ほどに落ち込んだが、“カミフ”でブレイクスルーしたい」と話した。また、“カミフ”を使用したウエアを着用して記者発表に登場した東レキャンペーンガールのアイリス・ウー(Iris Woo)は、「とても着心地がよく、心が癒された」とコメントした。
国内外のメンズとウィメンズのハイエンドゾーンに向けたカジュアルなアウターを中心とするテキスタイルとして、2022年春夏シーズン向けから販売する。海外でも展開する予定で、売り上げ目標は22年度に3億円を計画している。東レはナノデザインに関連した商材の全体の売上高100億円を目指しており、そのうちファッション関連は約20億円が目標だ。