REPORT
突貫工事の初ミラノ 絞り込んだ最小提案が奏功
ジョルジオ・アルマーニの支援を受けた「ファセッタズム」が、ミラノで初のメンズ・コレクションを発表した。ショー会場となった「アルマーニ/テアトロ」の提供などを知ったのは、ほんの前の出来事。落合宏理デザイナーは、実質ほぼ1カ月程度でメンズ・コレクションを完成させたようだ。
だからこそ、今回のメンズは「ファセッタズム」の骨子を成す、最小限の提案。東京らしいレイヤードのスタイルを基軸に、アジアのポップを示すのが目的だ。時間を要するから、プリントや装飾などの後加工は難しかった。だからこそ、“らしさ”を表現するには、レイヤードしか残された道はなかった。結果生まれたのは、さまざまなシルエットの、さまざまなアイテム。「ファセッタズム」にしてはシンプルだったから、見慣れた人にはちょっぴり物足りなく見えたかもしれないが、ブランドのことをよく知らないヨーロッパの業界人には、それが逆に「ファセッタズム」の奥行きと可能性を感じさせたようだ。
ボトムスのバリエーションは、今回のミラノメンズの中でも、どこよりも豊富だった。トレンドに呼応したリラックスフレアを筆頭に、ジャストテーパードから袴のようなクロップドワイドまで。ショートパンツもベリーショートからジャスト膝丈、そこにスカートを重ね履きしたようなフェイクレイヤードまでがそろう。これに呼応したトップスは、ビッグサイズのMA-1を筆頭に、ノースリーブのスエット、ダブルのライダースベスト、透け感のあるハイネックニット、ブルゾンなど、こちらもバリエーションに富んでいる。そして、これらを自由奔放にレイヤード。色と柄が少ないせいか、スタイルはハイパーミックスしても落ち着きを保っており、ある意味ミラノで発表するにふさわしい大人の雰囲気さえ醸し出していた。