REPORT
夜露で煌くダーク・エレガンス
2016年春夏の「フェンディ」コレクションがイメージさせるのは、とある雨の夜。照明を受けて細かに光が拡散するランウエイは、雨に濡れた砂利が街のネオンを反射した夜道のように見える。コレクションは装飾を極力省き、ボリュームの強弱をつけたクリーン&コンフォートなスタイル。ダルブルーやブラウン、グレーといった、まるで秋冬のようなカラーパレットが中心だが、ほのかに煌くアクセントを盛り込むことで光をまとい、エレガントな男性像にまとめている。
リフレクトする様を描くアイデアは、レザーを自在に操るメゾンならではのテクニックが光る。一枚革のナッパレザーを丁寧になめしてツヤを出したり、得意とするニードルパンチで徐々に色が濃くなるカラーグラデーションを描いてコントラストをつけたり。ジャケットのパッチポケット部分やバックパックに施したステッチは、雨粒もしくは夜露がキラリと反射する様子をイメージ。細かなジオメトリック模様のセットアップには、サテンシルクのトップスをレイヤードした。視覚に訴えながら、ロマンチックなストーリーが広がるコレクションだ。アクセサリーでは、アイキャッチな“バッグバグズ”が揺れるバックパックを拡充した他、バックパック型のミニポーチも登場。スリッポンのアッパーにドレスシューズのラストをドッキングしたシューズなど、キュートやリラックスのムードも継続してメゾンの個性を際立たせている。