三井物産ケミカルはこのほど、化粧品ODM(相手先ブランドの企画・生産)のアンズコーポレーション(大阪・山田昌良社長)に出資した。出資額は非公表。同社は2017年10月に新規領域開発本部を立ち上げ、石油化学市況に左右されない領域で新規ビジネスの創出を模索してきた。生活に近いウエルネス分野に照準を合わせて化粧品に進出した。これまでにも化粧品原料の一部を手掛けてきたが、本格的に化粧品に参画するのは初めて。
三井物産ケミカルの石川和弘・新規領域開発本部長は、「化粧品のバリューチェーンを見ていると、ついブランドに目が行きがちだが、それを支えているのはOEM(相手先ブランドの生産)・ODMメーカーではないかと考えた。日本の化粧品は世界からも評価が高く、付加価値がある」と話す。三井物産グループのネットワークを活用して、異業種からの化粧品参入や、海外化粧品メーカーからの受託案件獲得などを支援し、アンズコーポレーションのODM事業拡大を目指す。
アンズコーポレーションは、ロート製薬の関係会社で今年創業60周年を迎えた。ODM事業と自社ブランド展開の二軸で事業を展開する。売上高全体の約8割を占めるODM事業では95%を処方開発から手掛け、商品企画力や業界最高水準の効果・安全評価、品質管理力を有する。さらに効果と安全性のバランスを最適化した敏感肌対応処方や独自のオイルイン処方やクレンジングバーム・リップクリームなどの固形化製剤化技術に代表される処方開発力をもつ。生産は医薬品製造許可が取得可能な高い品質管理体制を確立した国内2工場が担う。売上高は19年度で73億円。スキンケアのODMでは国内3位につける。
2018年からは自社ブランド「ララヴィ(LALA VIE)」にも力を入れ、オイル製剤とスキンケア製剤の融合から生まれる新たなスキンケアのカテゴリーを提案。商品企画、製造、ECや店頭での販売までを手掛け、BtoBtoCの視点を養うことでODM事業との相乗効果を生んでいる。
アンズコーポレーションの山田社長は、「これまでの海外進出は、展示会に出展してお客さまが来るのを待つばかりだった。日本のメーカーは、世界でも高いスキンケアの製造技術を持っているのにこれまではうまくアピールできていなかったので、総合商社の知見を活用してバリューチェーンをしっかりとつないでいく。アジア、北米、ブラジルと幅広く進出する。将来的に売上高300億円、まずは中期的に130億円を目指す」と話す。