「WWDジャパン」は12月1日、サステナビリティとファッションの未来をテーマに掲げるオンラインイベント「WWDジャパン サステナビリティ サミット」を開催した。3部で構成し、セッション2では人工クモの糸で日本発の素材革命を目指すスパイバーの関山和秀・取締役兼代表執行役と2020年2月にサステナブルなモノ作りを目指すCFCLを立ち上げた高橋悠介・代表兼クリエイティブ・ディレクターを招き、サステナブルにファッション産業に必要なマテリアルやデザインについて語ってもらった。ファシリテーターは若手研究者であり、AIを活用した廃棄ゼロのパターンメイキングに挑む川崎和也シンフラックス主宰が務めた。
川崎和也シンフラックス主宰(以下、川崎):関山さんには素材の開発者あるいは研究者の立場から、高橋さんにはデザイナーの立場から、これからのファッションとサステナビリティについて伺います。まずは具体的なサステナブルアクションについて、それぞれどんな活動をしているかを教えてください。スパイバーが開発した人工たんぱく質“ブリュード・プロテイン”*1は石油などの化石資源に頼らない新しい素材として今注目が集まっています。
*1:遺伝子工学を駆使して合成したタンパク質を微生物による発酵プロセスで製造したもの。タンパク質は20種類あるアミノ酸の組み合わせでできており、スパイバーはニーズに応じてその配列をデザインする技術を駆使して、ナイロンのような長繊維からカシミヤ風のソフトタッチの繊維、石油由来ではない樹脂(プラスチック)やフィルムなどを作ることができる。
関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役(以下、関山):生物の体はタンパク質でできていて、タンパク質は20種類のアミノ酸がつながってできている高分子材料です。タンパク質はある意味、生物が獲得した究極のサバイバルツールで、アミノ酸はたった20種類ですが、組み合わせ次第でほぼ無限のバリエーションの材料が作れる。私たちの体も数万種類のタンパク質でできていて、つまり、いろんな材料がレゴブロックのようにたった20種類のパーツで作れてしまうということです。アミノ酸の並び方はほぼ無限大で、この組み合わせのパターンの中には当然、人間や生物がまだたどり着けていない素晴らしい材料が山のように眠っているはずです。人類はまだそこに全く手を付けられていないという状況です。
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