※この記事は2020年9月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
若い世代が行列を作るブランドを見て
リンク1本目にある「ディーゼル」 × GR8 × 東京ブランドというトリプルコラボの発表会に出掛け、面白い話を聞きました。「このご時世でも行列、特に若い世代が行列を作っているブランドって、どこだと思う?」と話を振られたのです。
さて、どこでしょう?確かにインバウンドがほとんどゼロになって、ファッション&ビューティ業界では行列を見かける機会が減っています。そんな中でも行列を作るのは、そう、「ディーゼル」とGR8がコラボした東京のブランドたちです。石川涼社長をフォローしているせいか「#FR2」の行列はTwitterでよく見かけるし、「レディメイド」なんかは引き続きとんでもないことになっていますね。特に後者は小ロット生産で渇望感をかき立てまくっている感もありますが、いずれにしてもこのご時世、行列は海外のラグジュアリーから東京のストリートブランドにシフトしているのかもしれません。と言うより、後者の行列はまだまだ健在!!って感じでしょうか?前者の行列が少なくなった分、東京のストリートブランドの行列の存在感が際立ちます。「ディーゼル」に話を聞くと、そんなブランドと手を組むことで今なおファッション意欲旺盛な若い世代にリーチしないと「生き残れない」と明言します。なるほど。海外ブランドだけに肩入れしないフラットな世代の感覚を捉えようとするビジネスが本格化してきた印象です。
若い世代は、特定のブランドの全てを愛するのではなく、TPOに応じ使い分けているとも聞きます。「好きなブランドは?」と聞かれて、「特になし」という回答が一番多い(ときに全体の6、7割を占めるときさえあると言います)のは、それも理由。「洋服に興味がない」のではなく、「どれか1つを挙げるほど、特定のブランドを偏愛していない」が正解なのです。
それに対して、業界はどうでしょうか?こと古い世代は、未だヒエラルキーに縛られ、「もう、若い世代には通用しませんよ。その神通力」って思うことがあります。若い世代には、ラグジュアリーとかパリコレブランドとか、あんまり関係ありません。弊社の若手を見ていても、そう思います。パリコレブランドでも、ダメなものはダメ。盲目的ではありません。だから「まぁまぁ、相手が相手ですから」と、われわれ世代が“なだめる”ようなコミュニケーションは、本当に通じなくなっています。そこに依拠したコミュニケーションを続けていると、若い世代が業界をけん引する数年後には、「なんで威張ってんの、このブランド?」みたいなカンジで捉えられちゃうでしょう。ミヤシタパークの向かいにある「ディーゼル」の旗艦店で、オジさんは、そんなことを考えるのでした。
FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。
エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。