REPORT
パンクやグランジをミックスしたスケーターガール
今季から「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」も手掛けているマッシモ・ジョルジェッティは、どのようにプリントや鮮やかな色使いで知られる2つのブランドの差別化を図るのか。皆の期待と不安が入り交じる中、ランウエイに用意された青やオレンジのライトが光り、女性3人組の米エレクトロ・パンクバンド、ル・ティグラ(LE TIGRE)の「ディセプタコン(DECEPTACON)」でショーは幕を開けた。アップビートな曲に合わせ、モデルは足早に目の前を過ぎ去っていく。「都会的で若々しく、グランジー」とジョルジェッティが語るように、反骨的でストリート感のあるアプローチで、「エムエスジーエム」の世界観を表現した。
着想源となったのは、1970年代にスケート文化に多大な影響をもたらしたロサンゼルスのスケーター集団「Z-BOYS」を描いた青春映画「ローズ・オブ・ドッグタウン(LORDS OF DOGTOWN)」。若者たちのスケーターファッションをベースに、パンクやグランジの要素をミックスしたレイヤードスタイルで、ボーイッシュな「エムエスジーエム」ガールを打ち出した。
今季のカギはチェーンやリング、アイレット、メタルメッシュに見られるシルバーのメタル使いだ。ドレスの上にランダムに配したり、前身頃と後身頃をアイレットとチェーンでつないだり。ハーネスのようなアクセサリーやウォレットチェーンも度々登場し、スタイリングにパンキッシュなアクセントを加える。また、裾や袖口を細かく裂いたようなフリンジはグランジ感を醸し出す。
得意とするカラーブロッキングスタイルは引き続き。少しあせたピンクやオレンジ、青、水色が目を引く。柄には、スケーターファッションに欠かせないチェックとバンダナ模様を採用。モスリンやシルクにプリントとしてさまざまなアイテムに落とし込んだ他、グラフィカルなマクラメレースでドレスも仕立てた。ラッフルを飾ったミニドレスは、大きめのメランジTシャツを下に着せることで、甘さを抑える。逆に、ボーイッシュなワイドクロップドパンツにはサイドに大きなリボンを加え、女性らしさをプラス。スカートやコートに深く入れたスリットとともに、ウォーキングに合わせてリズミカルに揺れる。
足元を飾るのは、リングなどで装飾を施したハイカットスニーカー。新たに登場したバッグ“トリック スケート”はメタルのハンドルとチェーンが特徴だ。