「クロエ(CHLOE)」は、12月7日付でガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst) を新クリエイティブ・ディレクターに指名した。2017年から約4年間同ブランドを率いた後、12月3日に退任したナターシャ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)の後任。ハースト新クリエイティブ・ディレクターによる初のコレクションは21年3月、21-22年秋冬パリ・ファッション・ウイークで披露される予定だ。
ハースト新クリエイティブ・ディレクターはウルグアイ生まれ。ORTウルグアイ大学でコミュニケーション学を専攻し、ファッションデザインは独学で身につけた。現地にある父親の牧場の経営を引き継いだ後、15年秋にニューヨークを拠点に自身のブランド「ガブリエラ ハースト」を設立。同牧場で生産するメリノウールをはじめとする上質な素材を用いて、タイムレス、クオリティー、サステナビリティの原則に基づいたラグジュアリーなウエアやバッグなどのアクセサリーを提案している。19年1月にはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY- LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁する投資ファンドのLVMHラグジュアリー・ベンチャーズ(LVMH LUXURY VENTURES)から出資を受け、20年の「CFDAアワード(CFDA Awards)」ではウィメンズウエア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。20年秋のファッション・ウイークからはコレクション発表の場をニューヨークからパリに移した。今後も自身のブランドのクリエイティブ・ディレクションは続けるという。
そんな彼女のファッションへのアプローチは、“パーパス・ドリブン(目的主導型)”なビジネスモデルへの移行を表明した「クロエ」と相性が良さそうだ。リカルド・ベッリーニ((Riccardo Bellini)=クロエ最高経営責任者(CEO)によると「 “パーパス・ドリブン”というコンセプトは、収益性のある成長と地球や社会、コミュニティーへの積極的な貢献を両立させること」で、環境への責任や女性の地位向上とエンパワーメントに重点を置いた改革を推し進めているところだ。また、ハースト新クリエイティブ・ディレクターはバッグのデザインにも定評があり、新たなイットバッグ誕生も期待される。
就任に際し、彼女は「『クロエ』のような愛されているブランドに携われる機会に、そしてナターシャ・ラムゼイ・レヴィをはじめ、創業者であるギャビー・アギョン(Gaby Aghion)の目的意識に満ちたビジョンの構築に貢献してきた歴代の素晴らしいデザイナーたちに感謝しています。またリッカルド・ベッカリーニCEOのリーダーシップの下で働くことを楽しみにしていて、社会的に高い意識を持ち、環境とのバランスがとれたビジネスを確立するという彼のコミットメントを支持します。この美しいビジョンをクリエイティブかつ責任のある方法で実現するために、『クロエ』のチームと共に取り組めて光栄です」とコメントしている。