楽天やヤフー、アマゾンなどIT大手がデジタルのノウハウをリアルに注入する、マーケティング戦略“OMO(Online Merges with Offline)”を本格的にスタートしている。実はその大本命の一つと言えるのが、会員数1億IDを誇る楽天が仕掛ける「楽天ポイント」だ。数年前から楽天の通販モール「楽天市場」を飛び出し、リアル店舗との連携に本腰を入れており、今年からは「楽天ファッション」と連携して、日本のファッション小売り店舗への導入を本格的にスタートした。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)で「Tポイント」を立ち上げ、ワールドを経て、現在は楽天の常務執行役員として「楽天ポイント」普及の指揮を執る笠原和彦氏は、“ポイント大国ニッポン”の最重要ポインターの一人だ。OMOの今後を直撃した。(この記事はWWDジャパン2020年12月7日号からの抜粋です)
WWD:なぜいまポイントなのか?
笠原和彦常務執行役員(以下、笠原):そもそもの前提として、楽天ポイントとは何かを説明する必要がある。ざっと説明すると、累計発行数は2兆ポイント(2020年9月13日時点)で、直近の年間の発行数は3200億ポイント(19年12月期)になる。楽天ポイントは1ポイントが1円分の利用価値があるため、ポイント利用率が90%以上ということも特徴で、世界的にも類を見ないポイント大国の日本でも、圧倒的に存在感の大きい“ポイント”と言える。ただ、“楽天ポイント”の本質的な価値は、楽天IDとひも付いていることだ。
WWD:というと?
笠原:楽天ID(楽天会員)は、ユーザー個人の属性と何を・いつ・どこで・いくらで購入したか、という購買データとひも付いており、マーケティングデータベースとしての価値は途方もなく高い。楽天ポイントは、この楽天IDとひも付いている。
WWD:購買データという面では、クレジットカードや最近台頭しているスマホ決済などもあるが。
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