
サンディ・パウエル(以下、サンディ):本作は、52年のニューヨークが舞台。同年のニューヨークは実際、皆がイメージするような“50’sスタイル”とは異なって、第2次世界大戦から復興しようとするヨーロッパの都市のように、色は控えめだった。
WWD:衣装のインスピレーション源、デザインするのに参考にした資料は?
サンディ: 50年代当時のファッション誌やダグラス・サークの作品。特に、ストリートフォトグラファーのルース・オーキンやヴィヴィアン・マイヤーの写真がお手本になった。
WWD:テレーズとキャロル、それぞれの衣装のポイントは?
サンディ:テレーズは、百貨店でアルバイトをしているけれど、写真家としてアーティストの一面もある。個性的なスタイルも着こなすけれど、服にこだわりすぎない普通の女の子に見せたかった。一方、キャロルのワードローブは、50年代の貴婦人にヒントを得たもの。テレーズのような若い子が手本にしたいと感じるように、ほどよくエレガントな雰囲気に。色は赤を中心に選んでいて、ファーをまとい、グローブを合わせて、ラグジュアリーかつコンサバな印象に。
WWD:注目してほしい衣装は?サンディ:注目して観てほしいのは、テレーズがキャロルに憧れ、出会ってから服のテイストが変わっていくさま。終盤、テレーズが成長して、変身を遂げた時に、どれだけキャロルから影響されていたのか、衣装を通して分かるようにした。