ファッション

有名デザイナー33人に聞いた“本当は自分で発明したかった”ものとは?

 今日のファッションは、歴史の中のさまざまな時代に発明されたものであふれている。そして、できることならその生みの親になりたかったと考えるデザイナーも多いようだ。実際、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は晩年、ブルージーンズを生み出したかったとよく話し、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)も白Tシャツを発明したかったと語っていた。そこで、米「WWD」は現在業界の第一線で活躍するデザイナー33人に“本当は自分で発明したかった”アイテムについて質問。デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)やステラ・マッカートニー(Stella McCartney)が挙げたものとは?

アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell'Acqua)/「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」ウィメンズ・クリエイティブ・ディレクター

ペンシルスカート。「ヌメロ ヴェントゥーノ」のアイコンとなっているものだから、自分で発明したかった。私にとってこのスカートは厳格なシルエットと極めてフェミニンな雰囲気のコントラストを演出しているアイテムで、フェミニンな素材でもマスキュリンな素材でもアレンジすることができる。いつの時代にもふさわしい着用シーンがあるので、全ての女性がワードローブに1着持っておくべき。

アナ・スイ(Anna Sui)/「アナ スイ」デザイナー

「リバティ(LIBERTY)」による“タナ コットン”。私の一番好きな生地とプリントと組み合わせだからね。プライベートで着る洋服にはこの生地を多用していて、コレクションでも多く使用してきた。

阿部千登勢/「サカイ(SACAI)」デザイナー

私は逆のアプローチをとっていて、すでに存在するものを使って全く別のものに変えるのが好き。例えば、スーツを作り変えたら、それはもはや昔ながらのスーツではなくなる。だから、この質問とは反対の考え方を持っている。

クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)/「クリスチャン ラクロワ」デザイナー

「オシュコシュ(OSHKOSH)」のような作業着。とてもクレバーで実用的だ。自分でも愛用していて、もう40年以上着ている。

クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)/「クリスチャン ルブタン」デザイナー

デニムとビーチサンダル。

デムナ・ヴァザリア/「バレンシアガ(BALENCIAGA)」アーティスティック・ディレクター

「黒」という色。なんでもファッショナブルに変える色だから。

ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)/「ドリス・ヴァン・ノッテン」デザイナー

自分のことを発明家だとは思っていないので、何かを開発する必要はない。私が取り組んでいるのは、何かをクリエイトすることだと考えている。(すでにある)たくさんの選択肢の中から何かを作るのはとても楽しいこと。私にとって色やプリントは画家にとっての絵具のように最も重要なツールで、そのアレンジを楽しんでいる。何か特定のアイテムと常に結び付けられてしまうことは、すごく制限されるように感じる。

ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)/「ガブリエラ ハースト」「クロエ(CHLOE)」クリエイティブ・ディレクター

“発明”されたかどうかは分からないけれど、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)は芸術家のアルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)やサルバドール・ダリ(Salvador Dali)と一緒にブローチやジュエリーを作っていたし、私もそんなことができたらよかったのにと思う。

ヘロン・プレストン(Heron Preston)/「ヘロン・プレストン」デザイナー

もちろん、靴下。

ジャック・マッコロー(Jack McCollough)&ラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)/「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」デザイナー

自分たちが生み出したかった!!!と思うのは、完璧な黒のクルーネックコットンTシャツ。私たちになくてはならないものの一つであり、今も実際に着ているしね。僕たちにとっては、永遠のクラシックアイテムだ。

ジェイソン・ウー(Jason Wu)/「ジェイソン ウー」デザイナー

スパンクス(補正下着)を発明したかった。本当に!

ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)/「ジャンポール・ゴルチエ」デザイナー

ジーンズ。それは、年を重ねるごとによくなっていく唯一の洋服。人のようにね。

ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)/「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」デザイナー

カシミヤのセーターだね。これ以上優れたものはない。

ジョン・ガリアーノ(John Galliano)/「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」クリエイティブ・ディレクター

トレンチコート。「メゾン マルジェラ」というメゾンやこの上ない品を象徴していると感じる。ダブルボタンのトレンチコートは私にたくさんのインスピレーションを与えてくれた。

ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)/「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」クリエイティブ・ディレクター

スリップドレスを発明したかった。ある種の官能性とリラックスした心地よさを持ち合わせている素晴らしいアイテムだと思う。すごく繊細に作られていて、もともとは他の洋服の下に着るためのものだったけれど、今では一枚で着られるようになったところが気に入っている。

キム・ジョーンズ(Kim Jones)/「ディオール(DIOR)」メンズ・アーティスティック・ディレクター

白Tシャツか、ジーンズ。この2つは誰もが持っていなければいけない天才的なアイテムで、シンプルさと機能性を併せ持つデザインの頂点だと思う。実際に私も1905年の「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズを持っているよ。

マーク・ジェイコブス(Marc Jabos)/「マーク ジェイコブス」デザイナー

最初に思い浮かんだTシャツとジーンズがすでに挙がっているので、スニーカーかな。

マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)/「ディオール」アーティスティック・ディレクター

間違いなく、デニムジーンズ。世界で最も民主的で実用的で、そして機能的なアイテムだから。

マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)/「MSGM」クリエイティブ・ディレクター

クラシックなグレーのメランジフリースを使ったスエットのセットアップを発明したかった。

マシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)/「ジバンシィ」「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」クリエイティブ・ディレクター

ピン、ファスナー、ハサミ。

マイケル・コース(Michael Kors)/「マイケル・コース」デザイナー

アビエーターサングラス。シックでクールだし、とてもセクシーだ。たとえ17歳でも77歳でも、誰にだって似合う。ブラッド・ピット(Brad Pitt)やゼンデイヤ(Zendaya)、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が究極の代表例だが、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領のようにぶっちぎりで似合う人はいないだろう。

ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)/「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター

テーラードパンツ。

オリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)/「バルマン(BALMAIN)」クリエイティブ・ディレクター

外出時のワードローブで最もシックなアイテムだと思っているので、ダブルボタンのジャケット。

ポール・アンドリュー(Paul Andrew)/「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」クリエイティブ・ディレクター

白Tシャツ。何年にもわたって次第に私自身のパーソナルなスタイルの象徴になっていったからね。お気に入りは、「サンスペル(SUNSPEL)」のオーガニックコットンのクルーネック。このアイコニックなアイテムのカジュアルなエレガンスは、多くのかしこまったシーンで着るのにもふさわしい。

ポール・スミス(Paul Smith)/「ポール・スミス」デザイナー

発明したかったと思うものについては分からないけど、自分が成し遂げた中で最も誇りに思っているのは、100%ウールを使用したシワができないスーツを開発したこと。

フィリップ・リム(Phillip Lim)/「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」デザイナー

スニーカーを発明したかった。誰もが持っているファッションアイテムだからね。私は目的のあるデザインを信じていて、スニーカーはまさにスタイルと機能性が完璧に融合したもの。

ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)/「ヴァレンティノ(VALENTINO)」=クリエィティブ・ディレクター

ジーンズ。いつだってデニムと「リーバイス」が好きだ。

リック・オウエンス(Rick Owens)/「リック オウエンス」デザイナー

プラットホーム。こんなバカげた何かを思いついていたらよかったのに。

ステラ・マッカートニー/「ステラ マッカートニー」デザイナー

ファスナー。ユーティリティーの要素があり、荒々しい要素もある。セクシーで激しく、力強い上に実用的。とても無垢でシンプルだけど、イケてる。なんて素晴らしいデザインなのだろう。ファスナーを必要としない人なんていないでしょう?

トリー・バーチ(Tory Burch)/「トリー バーチ」デザイナー

レトロでスポーティー、クール、実用的な70年代のトラックスーツを発明したかった。新型コロナウイルスの感染拡大以来、とても身近になったアイテム。

小泉智貴/「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナー

私からはバレエのチュチュスカートかな。とにかく可愛いから!

ヴェラ・ウォン(Vera Wang)/「ヴェラ・ウォン」デザイナー

すばり、レギンスだね。フィギュアスケートやバレエを楽しみ、週末はアスリートにもなる運動好きなファッションデザイナーとして、私のマインドやスタイル、生活に快適さは最も重要な要素。レギンスはいつも私のワードローブの基本にあって、素敵なアウターや繊細なトップス、テーラードアイテムを合わせられるし、下着としても着られる。それが娘たちを怖がらせてきたのは確かだけど、今となっては全世界の人々がレギンスやアスレジャーアイテムを中心に生きている。だから、本当は化学繊維のライクラをまず発明したかったとも言えるけれど、レギンスも間違いない!

ヴェロニカ・エトロ(Veronica Etro)/「エトロ」クリエイティブ・ディレクター

シャツはずっと発明したかったと思っていたアイテム。多くの場面で使用できるし、男性的でありながら女性的であり、エレガントでセクシー。フォーマルだけど、休暇に持っていくのにも適している。普遍的な衣服でありながら、何度もカスタマイズしたり再解釈したりもできる。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。