ファッション

社会とつながる「ファッションは素敵だぜ!!」 エディターズレター(2020年9月23日配信分)

※この記事は2020年9月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

社会とつながる「ファッションは素敵だぜ!!」

 さぁさぁ皆さん、2021年春夏ウィメンズ・ファッション・ウイーク、始まってますよ~。

 と声高に叫んでみたのは、ワタシも日本にいるせいか例年に比べ「始まったんだ」感が薄かったから。でもニューヨーク・コレクションを見て、「あぁ、やっぱりファッションは素敵だぜ!!」とつくづく感じております。ということで4連休明けの本日はめんどくさい話はせず(笑)、とりとめもなく、NYコレクション前半戦のお話をしたいと思います。

 「ファッションは素敵だぜ!!」と思った一番の理由は、多くのブランドがことごとく「マスクをファッションにしているから」です。トップスやボトムス、バッグ&シューズとマスクの色柄を合わせた「Matchy Matchy(元来は「そろえ過ぎ」という否定的な意味ですが、今回は「コーディネイト完璧!!」くらいポジティブに捉えてくださいw)選手権」のグランプリは、「アリス アンド オリビア」。もともと「女の子だもん。可愛けくなりたいの」くらいシンプルな欲求にポジティブに応えるブランドです。今シーズンのマスクスタイルでガールズグループの前に現れたら、大盛り上がりは間違いないでしょう。余談ですが、ワタクシのマスクから考えるコーディネートコラムは今春抜群のパフォーマンスを記録しまして、世間の「おしゃれマスク」&「おしゃれなマスクスタイル」を求めるニーズはなかなかに大きいことを実感しております。このニーズを的確に捉え、危機さえポジティブに乗り切ろうとしている逞しさに「ファッションは素敵だぜ!!」なのです。

>マスクから考えるコーディネイト 東京ブランドのマスクで8スタイルに挑戦!!

 1つのブランドが提案するルックは、総じて大幅に減少しています。これまで5、60ルックは当たり前だった「アナ スイ」の21年春夏シーズンは、35ルック。そのほかのブランドも半減から3割減は当たり前。ムダなモノは作らない、アイデアは厳選してクリエイションを枯渇させない。そんなサステナブルなマインドが垣間見え、やっぱり「ファッションは素敵だぜ!!」です。

 「トム フォード」が発表したビジュアルには、マスクは一切登場しませんでした。代わりに徹頭徹尾一貫したのは、眩しいくらいネオンカラーのリップ。ビビッドカラーな唇のモデルは、「破顔」という言葉がピッタリなくらい大きく口を広げ、白い歯を覗かせます。洋服は、シンプルながらハッピーな色柄のカフタンドレス。トム・フォードは、「完全なロックダウンが少し緩和された後、ソーシャル・ディスタンシングを意識しながら友人と屋外で楽しんだディナー」を思い出したと言います。まだ気は抜けないから、気を使わないラクな洋服で。でも久しぶりの再会だから、ちょっとはドレスアップしてみたい。カフタンドレスは、そんなアンビバレントな気持ちの象徴であり、鮮やかなリップは、素敵な洋服に身を包んだときの高揚感の表現です。Zoomでも、めっちゃ映えることでしょう。さぁ、繰り返しますよ。「ファッションは素敵だぜ!!」(笑)。

 やはりファッションとビューティは、社会と密接につながっています。いつものように現地では体感できないけれど、写真だけでも強く伝わる。それが分かったこともまた、「ファッションは素敵だぜ!!」の理由なのでした。

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