LINEが運営するショッピングサービス「LINEショッピング」が、存在感を高めている。同サービスはLINEアプリ上で3億点以上の商品を購入できるサービスで、ファッションとコスメが主力アイテムになっている。コロナ禍も手伝い、同サービスの年間の流通額は今年度で2000億円に達すると見られ、全体の流通額はファッションECサイトでは「ゾゾタウン」に次ぐ位置になる。「LINEショッピング」は、ファッション&コスメのネット通販の新スタンダードになるのか。
「LINEショッピング」には、「楽天市場」「ゾゾタウン」といったネット通販モール、オンワードやベイクルーズなどの有力アパレル・小売り企業の運営するECサイト、「グッチ」の公式通販サイトなど300が参加しており、取り扱いアイテム数は3億点に達する。「LINEショッピング」の強みは、8600万MAU(Monthly Active Users=月間アクティブユーザー数)に達する圧倒的なトラフィックを持つメディアであることだが、「『LINEショッピング』は『ゾゾタウン』や『楽天市場』のような、いわゆるネット通販モールではありません。我々は“コマースゲートウェイ”と呼んでいますが、そうしたサイトへの送客が主な役割になります」と高柴慶人LINEショッピングチーム マネージャー。つまり「LINEショッピング」の役割は、あくまで通販サイトとLINEユーザーをつなぐこと。仕組みとしてはユーザーが、それぞれのブランドやモールの通販サイト上で決済し、購入するようになっている。そのため、ブランドやサイトにとって、「LINEショッピング」は、ブランドから売り上げの一部を支払うアフィリエイトサービスという位置づけになる。売れた時の手数料は5〜10%ほどになる。
「LINEショッピング」は、ネット通販の広がりに伴い主流になりつつある新しいデジタルマーケティングと販促プロモーションの象徴だ。「ブランド側からするとユーザーへのポイント還元率を上げることで、商品の価格は変えず、しかも期間や商品をピンポイントに絞ることもできる。従来のウェブ広告とは比べ物にならないほど効率的で効果的なプロモーションになる」と「LINEショッピング」の営業担当である瑞慶覧清香さん。実際に、あるブランドは自社ECサイトと有機的に連動させることで、「LINEショッピング」内での売上高を20倍に引き上げたという。
15日からは、販売員スナップのECアプリ「スタッフスタート」との連携もスタートした。「『スタッフスタート』の導入で、ユーザーは単品の検索・比較だけでなく、コーディネートの見れるようになり、さらに送客のボリュームは増えそうだ。実際に『LINEショッピング』で最も強力なカテゴリーがファッションとコスメだが、ファッションとコスメに限ってもまだまだ伸ばすことができる。LINEにとっても『LINEショッピング』がLINEポイントの圧倒的な稼ぎ頭であり、とても重要なコンテンツになりつつある」と高柴マネージャー。ファッションビジネスのプロモーションの新しいスタンダードになるか。