ファッション

25周年の「ディースクエアード」デザイナーに片岡愛之助やISSAら著名人が一問一答 「新たな野望はいつも抱いているよ」

 カナダ出身の双子ディーン・ケイティン(Dean Caten)とダン・ケイティン(Dan Caten)が1995年にスタートした「ディースクエアード(DSQUARED2)」が25周年を迎えた。フォーマルからカジュアルまで多彩なスタイルは幅広い層に支持され、コレクションを通じて発信されるポジティブでパワフル、ハッピーなムードで多くの人に愛されてきた。ここでは同ブランドとゆかりの深いセレブリティやファッション業界の10人がディーン&ダンに一問一答を実施。栄光と挫折、クリエイション、将来の夢についてを聞いた。

片岡愛之助/歌舞伎俳優

「25周年おめでとうございます。歌舞伎は伝統として残っているものをしっかりと引き継いで後者に伝えていくこと、そしてそれと同じくらいに新しいものを取り入れて作り出すことも大切にしながらここまでを紡いできました。2人はこれから10年先、20年先、さらに50周年を見据えて、今後の『ディースクエアード』をどのように考えていますか?」

ディーン・ケイティン&ダン・ケイティン(以下、ディーン&ダン):ブランドを立ち上げたのは、伝統が自由にあれる場所を作りたいと考えたからなんだ。僕らは自分たちのルーツやオリジンを忘れたことがないし、それをブランドの起点としている。なので将来について考えるときは、自分たちのオリジンとどうやって始まったのか、そして自分の中に取り込んで自分のものとしてきた古い価値観と新しい価値観が常に頭にある。アイデアは時間と共に変化するものなので、将来どうなっているかについて正確には分からないけれど、自分らしさに忠実でありたいし、これまで誇りにしてきたことに相反するようなことは今後も絶対にしないつもりさ。

ISSA/DA PUMP

「僕自身ももうすぐDA PUMPを結成して25周年を迎えます。25年間を振り返ってつらい経験や挫折したことなどはありますか?また、それをどうやって乗り越えましたか?」

ディーン&ダン:これまでたくさんの課題に直面したし、みんなと同じく簡単なことなどなかったけれど、全てのことから新たな学びを得たよ。一番大変だったのは、ヨーロッパに来たことかもしれないね。でも、さまざまな障害にぶつかったとしても、自分たちの夢を信じ続けてギブアップしないと決めていた。今でもそうだけど、僕らは昔からドリーマーで大きな夢を持っていた。途中で心が折れてしまいそうなこともあったけれど、僕らの場合は夢が現実になったんだ。

冨永愛/モデル

「25周年おめでとうございます。ということは、私が『ディースクエアード』のランウエイを歩いたのは本当に初期の頃だったんですね。私は長いキャリアの中で、仕事や人生に対する考え方、日本や世界におけるハンドクラフト、そして物の価値は少しずつ変化してきたと感じています。常に変化し続けるファッションの世界で、ブランドの“らしさ”を守り続ける秘訣と守り方は何ですか?」

ディーン&ダン:秘訣は成功しすぎないことだね。そして“らしさ”を手に入れたらそれを手放さないこと。誰もがすぐに成功することを期待するけれど、それは無理だ。忍耐強く努力する必要があるし、人生のほとんどを費やすわけだから、情熱を感じられることをし続けないとね。じゃないと、やる意味がないでしょ?二番目の秘訣は、常に自分らしくあることと家族を大事にすること。僕らは常に自分の気持ちに従うし、自分たちの価値観を守っている。ファッションは服のことばかりじゃなく体験や感情、ライフスタイルを解釈したもので、僕らはこれまでずっとそうやってきたんだ。

槙野智章/サッカー選手

「僕は8歳でサッカーを始めたんですが、あれから25年が経ちました。2人にとって、これまでで最高の瞬間は何ですか?僕の場合、幸わせなことにサッカーをすることでたくさんの人々に夢を与えられるので、それが最高の瞬間です!」

ディーン&ダン:25年間を振り返ると、素晴らしい瞬間や思い出がいろいろあるよ。心から敬愛している才能溢れる人々と仕事をしてきたし、そういう人は「ディースクエアード」を個性的に着こなしてブランド価値を高めてくれたしね!中でも、マドンナ(Madonna)が2000年に発表したミュージックビデオ「ドント・テル・ミー(Don’t Tell Me)」の衣装でのコラボや、彼女が01年に行ったドラウンド・ワールド・ツアー(Drowned World Tour)用にカスタムメイドのアイテムをデザインしたことは、僕らにとって大きな転機になった。また最初のブティックをミラノにオープンしたこともよく覚えているよ。認知度がぐっと上がったし、ブランドを違う角度から見られるようになったから。心の中には、これからもずっと忘れない素晴らしい瞬間や思い出がたくさんあるよ。

クリスタル・ケイ/歌手

「私は『ディースクエアード』のエッジーで、プレイフルで、ぬくもりのあるデザインが大好き!ああいう遊び心たっぷりのデザインはどうやって思いつくの?これからもずっと私たちを楽しませてね!」

ディーン&ダン:僕らはコレクションにいろんなインスピレーションを交ぜて遊ぶのが大好きなんだ。僕らはストーリーテラーで、インスパイアされたあらゆる物語やディテール、体験、旅路(ジャーニー)をデザインで語るのさ。プレイフルなのは、面白くて、皮肉っぽくて、ゴージャスで、衝動的でありたいから。基本的に仕事は楽しんでやっているから、そう言ってもらえてうれしいな。僕らにとっても、ブランドにとっても、ポジティブなバイブスをありがとう!楽しく暮らすという考えは僕らの一部であり、「ディースクエアード」らしさの定義でもある。2020-21年秋冬コレクションではプロポーションで遊んでみたり、パンクやミリタリーテイストで遊んでみたりしているし、21年春夏コレクションではテーラリングスタイルを見せたりした。「ディースクエアード」は、僕らのように人とは違う服を着たい人や、イマジネーションにあふれたミックス・スタイルを愛するみんなに向けて作っているんだ。

榊原達弥/「サファリ」編集長

「25年前にブランドをスタートした時に思い描いた未来と、実際に25年後の現在で何か違いはありますか?ある場合、それはどんなことですか?」

ディーン&ダン:僕らのファッションに対するビジョンはいつも同じで、特にファッションに対する努力や情熱はずっと変わらない。個人として成長したことが結果としてブランドの成長にもつながり、新たな側面やバリューを持つ大きな事業となった。僕らのビジョンは最初からリアルだったし、これからもそうあり続けたいと思っている。自分たちの道は間違っていないと信じていたし、ずっとこの方向に進んでいきたいと願っているよ。今は、より成熟したと感じるかな。作品や仕事のいろんな面をよりよくしようと頑張ったしね。確かに時代は変わったけれど、重要なのは自分のルーツやDNAを忘れないこと。時代を意識しつつ、人間やデザイナーとしてのルーツ、そして自分が誰なのかを忘れないことが大切なんだよね。僕らにとって、愛と家族がいつだって一番大切なのさ。

すみれ/女優、歌手

「ひさしぶり!日本と、日本のカルチャーで一番好きなことは何?」

ディーン&ダン:日本はとても美しい国で、豊かな体験をもたらしてくれるので、機会があったらぜひちゃんと訪れたいと思っているよ。何より、歴史や過去とモダンさが入り交じっているところが大好き!僕らは現代的でありつつ、歴史に対する尊敬が感じられるものが好きなんだけど、これをデザイナー的に解釈すると実験的かつクリエイティブであると同時に、自分のルーツを忘れないということなんだ。

吉岡裕/三越伊勢丹クロージング&アクセサリーⅡグループ マーチャンダイザー

「伊勢丹のメンズでは、『ディースクエアード』が設立された当初から取り扱っています。ありがたいことに伊勢丹にはファッション好きのお客様が多いのですが、さまざまなブランドが入れ替わっていく中でもブランドが愛されている理由は何だと思いますか?」

ディーン&ダン:いろいろな理由があると思うけれど、「ファッションは特別なもの!」ということを忘れてはいけないことかな。誰もが特別になりたいわけだから、アイデアをしっかり持ってオリジナルでリアルであることが大切なんだ。ほかと差別化して生き残るには、まずオリジナルであることが重要。コピーはたくさん出回っているから、自分なりの視点を持って、よりクリエティブである必要があるんだ。僕らはコミュニティーを拡大するために、コレクションに付加価値を与えてくれる才能ある人たちとコラボレーションして、デザイナーとして常にエキサイトしていられるように意識してきた。オープンであることや敬意、そして愛を通じて僕らのビジョンをみんなにシェアしているんだ。

オナイウ阿道/サッカー選手

「僕は今25歳なので、『ディースクエアード』とはクラスメートみたいな感じですね。僕の将来の夢は海外でプレーしてワールドカップに出場することですが、将来に向けた新たな野望はありますか?」

ディーン&ダン:新たな野望はいつも抱いているよ。僕らはデザイナーで、新たなアイデアのキャッチボールをするときにはクリエイティビティーの翼を大きく羽ばたかせるから。デザイナーの仕事で一番楽しいところはそこかもしれないな。全てが流動的で、これが当然だというものがない。ファッションはビジュアルが言語であり、異なるさまざまな美しい意見によって常に進化しているから。僕らも新しいアイデアをこれまでにいろいろと実行してきた。レストランやプール、ジムと展開した「チェレジオセッテ(Ceresio 7)」プロジェクトは、新たな野望を持ち続ける意味を形にした好例じゃないかな。僕らにとって最も大切なのは何ごとにも情熱を持って打ち込むこと。そして、人生や仕事、人々、経験から学び続けることだよ。

AMIAYA/モデル

「デザインするときに相手について気にかけていることや大事にしていることはありますか?」

ディーン&ダン:僕らはそれぞれ異なるクリエイティブエネルギーを持っていて、クリエイションの過程でそれが一体となる感じなので、お互いについてすごくいいなと思うことがたくさんあるのさ。2人ともポジティブな姿勢や輝きが好きで、常にお互いをサポートしてきた。僕らは補完し合える関係性だし、何も疑うことなく信頼できる相手がいるっていうのはすごく安心することだよね。

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