企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はホームファッションのニトリの決算から同社の強みを探る。(この記事はWWDジャパン2020年12月14日号からの抜粋です)
今回はコロナ禍でも快走を続け、島忠の買収でも話題のニトリを取り上げます。
まず非常に営業利益率が高い企業です。彼らは“製造物流IT小売業”を掲げていますが、自前で垂直統合型サプライチェーンを実現しています。つまり、まさしく製造小売業で、企画から商品開発、原材料調達、製造、品質管理、貿易、物流、販売まで全てを自社で網羅して、お客さまと向き合っています。アパレル企業であればSPAであり、よくファーストリテイリング(FAST RETAILING以下、FR)と比較されています。
FRになくてニトリにあるものとしては、まずは貿易機能です。大概は専門の業者に頼むのですが、彼らは自分たちで通関を切って直接輸入しています。次に物流についても11月に、2000億円ほど投資して物流センターを自社で一元管理する計画を発表しました。もちろん自動化も進めています。
商品も自分たちで作ります。商品部に今580人ものスタッフがいるそうです。仕様書発注できるというのが大きな強みです。社員がちゃんと世界の展示会に行き、工場に対して仕様書で発注するという仕組みを実践し、それを繰り返しながら学んで、今があるという感じがします。
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