日本ショッピングセンター協会(以下、SC協会)は2020年の全国のSC総数が、閉鎖数(42)が開業数(40)を上回り3207(速報値)になったと発表した。SC総数は2019年に2003年以来16年ぶりに減少に転じており、2年連続の減少になる。かきいれどきである年末年始に政府から外出自粛の呼びかけが行われるなど新型コロナの感染が収束しない中、これまで消費の中心だったショッピングモールは転換期を迎えている。
現在SC協会の清野智・会長は、「SCに限らずではあるが、コロナに始まり、コロナに終わった1年だった。外出自粛が呼びかけられる中、特に都心部のSCが大きな影響を受けた」と語った。1〜11月の販売統計では、緊急事態宣言が解除された後の6月以降は大都市以外が最大でも前年比17.2%減(9月)にとどまっているのに対し、大都市は10月をのぞき26.9%減(9月)〜17.1%減(11月)で推移している。大都市以外が2.3%増とプラスに転じた10月も、大都市は8.3%減にとどまった。「スーパーなどの生活必需品を核としたモールが比較的堅調だったのに比べ、大都市のターミナルに位置する大型ショッピングビルなどは概ね苦戦した」(同)という。
今年開業した40SCに関して衣料品比率(2019年18.0%→2020年17.1%)などの物販比率が減少する一方、飲食比率(19.0%→24.0%)が上昇する、というこの数年のトレンドが続いているものの、SC協会によると「飲食はコロナの影響を物販以上に強く受けている。物販が2〜3割減だとしたら、飲食は4〜6割減。大変厳しい状況が続いている」と指摘している。
2021年にオープン予定のSCは35カ所。主要なものは「アミュプラザくまもと」(4月、店舗面積4万9000平方メートル)、「イオンモール川口」(春、同5万9000平方メートル)、「ビバモール蕨」(春、同2万3000平方メートル)、「ビバモール美原南インター(大阪府堺市)」(7月、同2万2000平方メートル)、「イオンモール白山(石川県白山市)」(夏、同7万3000平方メートル)、「西神中央駅ショッピングセンター(兵庫県神戸市)」(11月、同2万6500平方メートル)、「春日井商業プロジェクト(愛知県春日井市)」(秋、同4万平方メートル)、「ノリタケの森プロジェクト(愛知県名古屋市)」(秋、同3万7000平方メートル)などとなる。