故カール・ラガーフェルド氏(Karl Lagerfeld)がデザインを手掛けた「シャネル(CHANEL)」のビンテージ・ジュエリーが、クリスティーズ(CHRISTIE'S)のオークションで初めて販売される。1月14〜29日にクリスティーズのウェブサイトで開催されるグトフロインド(Gutfreund)家のコレクションを扱う大規模なオークションの一部として出品される。「シャネル」のメゾンコードを取り入れたカール氏のスタイルを象徴するネックレスやイヤリングの数々は、彼の近しい友人であったスーザン・グトフロインド(Susan Gutfreund)が所有していたもの。彼女はたびたびランウエイのサンプルやユニークなジュエリーをカール氏から贈られていたという。
オークションに出品されるアイテムは全てコスチューム・ジュエリーと見られ、貴金属や宝石は含まれない。しかし、クリスティーズはそれぞれ2000〜5000ドル(約20〜51万円)で落札されるだろうと予測している。比較的高額な見積もりに対してクリスティーズのクレイボーン・ポインデクスター(Claibourne Poindexter)=ジュエリー・スペシャリストは、「これらは時代を象徴するものでありながら、独特なデザインでもある。フランスの銀食器のような形をしたイヤリングからアンティークの封蝋を模したものまで、随所にカール氏の遊び心が感じられる。信じられないくらい素晴らしく、小粋なものばかりだ」とコメントした。
ポインデクスター=ジュエリー・スペシャリストはまた、世界的にファッションやアクセサリーの大量生産が台頭する以前のラグジュアリー・ファッションにおける時代の産物との見解を示した。「これらのジュエリーは1980〜90年代のオートクチュールの世界が垣間見えるものであり、それぞれに込められたデザインやディテールへのこだわりはその時代に共鳴するもの。ファッションが楽しく、可能な限りの方法で最高なものを生み出せた時代を表している。これらのアイテムは、20世紀の服飾史とファッションジュエリーデザインの歴史において極めて重要な意味を持ちつづけるだろう」と語った。
今回出品されるコレクションの多くのアイテムはランウエイショーのために作られた一点ものやハンドメイドの試作品であるため、ブランド名の記載やロゴのないものが多い。ポインデクスター=ジュエリー・スペシャリストは、「今日市場に出回っている『シャネル』によるジュエリーはほぼ全てが最終消費者向けに製作・販売されているものだが、グトフロインドのコレクションの大半は試作品として生み出されたもの。完全に手作業で作られ、パリのランウエイショーで着用された唯一無二のジュエリーもある」とコメント。そのため、「単独のオーナーが所有するラガーフェルド時代の『シャネル』ジュエリーにおいて最も素晴らしいコレクション」だと考えている。