仏政府は小規模な小売店に対する支援策として、冬のセールの開始日を1月20日に延期するよう小売業界に要請した。
フランスでは夏と冬の年2回、大規模なセールを実施する。冬のセールは通常1月の第1週からスタートし、1カ月ほど続く。しかし今年は新型コロナウイルスの影響による休業措置のため、多くの小売店で売り上げが大幅に減少。また10月30日から11月27日までは春に引き続いて2度目の厳しい外出制限が行われ、ホリデー商戦も厳しい結果となっている店舗が多いことから、仏政府は定価販売の期間を延ばすべく今回の要請に踏み切ったという。
中小規模の小売店がこれを歓迎する一方で、大手ではより早くからセールを行って在庫を売り払い、手元資金を確保した状態で新年をスタートしたかったという声も聞かれる。
百貨店のギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)、「ザラ(ZARA)」などを運営するインディテックス(INDITEX)、H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)などおよそ6万店が加盟する仏専門店連盟プロコス(PROCOS)と、仏フランチャイズ協会(Federation Francaise de la Franchise)、仏ショッピングセンター協議会(Conseil National des Centres Commerciaux)は、「(外出制限によって)11月にセールが出来なかった上に、1月の大々的なセールが20日からのスタートに延期されてしまうと、年明けすぐのキャッシュマネジメントなどの経済的な影響が懸念される」と、共同声明を発表した。
11月27日の「ブラックフライデー(Black Friday)」には、米国をはじめ世界中で大規模なセールが行われたが、フランスでは小売店の営業再開が11月28日からだったため、規制明けの混雑を防ぐために同セールは一週間延期された。
フランスの公的な統計作成や分析を行う仏国立統計経済研究所(L'Institut National de la Statistique et des Etudes Economiques)によれば、12月の国内総生産(GDP)はコロナ禍以前の水準と比べて8%減、家計支出は同6%減となる見込み。11月のGDPが同12%減、春頃には同30%減だったことを踏まえると、かなり改善したといえるだろう。