2020年は、誰にとっても想像だにしなかった1年であったと思う。コロナ禍を経て、ライフスタイルや価値観が大きく変化した現在。2021年の美容トレンドはどうなるのだろうか?今回は「スキンケア」の未来を予想してみたい。
【スキンケアトレンド1】
「敏感肌」&
「見えないものから守る」意識
スキンケアは今「敏感肌」のニーズなくしては語れないように思う。「働き方やコミュニケーションの方法が変わる」「1年中マスクを着用する」、これらの過去に経験のない大きな生活の変化によって、ニキビやバリア機能の低下など「以前とは違う不安定な肌状態」を実感する女性が増加しているからだ。また先行きに対する不安や、ライフスタイルの変化によるストレスも、肌の不調を後押しする要因にほかならない。
もう1つ、この1年で大きく変わったのが「目に見えない、肌や体に害をなすものから自身を守りたい」という意識だ。これまで美容における見えない悪者といえば、紫外線や花粉、PM2.5などが代表例だった。この1年の「ウィルスから自身を守る」という経験を経て、肌への防御意識も高まるとしたら、今後は低刺激設計×大気中の微粒子から肌を守るミストが、さらに注目されるのではないかと思う。
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【スキンケアトレンド2】
ある日気づく「マスク老け」、シワやシミ対策へのニーズが高まる
マスク着用やリモートワークの影響で、明らかに低下したのがUVケアやファンデーションの使用機会だ。これは「紫外線対策が、これまでより手薄になる」ことを意味しており、時間の経過と共に「シミ」や「くすみ」が気になる女性が増加するのではと予想している。個人的にも最近皮膚科で肝斑の悪化を指摘され「えっ、いつの間に!?」と驚いた。皮膚科医曰く、マスクと肌がこすれる影響で、私のような患者が増えているという。
もう1つ、資生堂の研究によって判明したのが、マスク着用時は「目元の筋肉の活動量が増加する」という事実。確かに、マスクから唯一見える「目元」でコミュニケーションをはかろうとするのは、心情的にも理解できる。この状態が長期継続すると、シワ発生の要因になると考えられる。
一つ一つは小さなことだが、生活習慣の変化が積み重なると、肌への影響は決して見逃しにはできない。今後ふと鏡を覗いた時に「マスク老け」を意識する女性が増えるとしたら、エイジングケアへのニーズは確実に高まるはずだ。
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【スキンケアトレンド3】
信頼と期待感を両立した
「進化型ロングセラー」
アイスタイルが「@cosmeビューティアワード2020」と共に発表したトレンド分析によると、スキンケア分野では「ロングセラーのリニューアル製品」が注目されているという。長年培ったブランドの信頼感に、最新の技術が加わることで「効果が期待できる」「間違いのないものを買いたい」という、消費者の思いに合致した結果だ。
21年春は、まさに進化を遂げたロングセラーが充実するシーズン。富士フイルムの「アスタリフト(ASTALIFT)」からは、ジェリー アクアリスタシリーズ初の医薬部外品として、美白ジェリーが登場。高濃度ビタミンC美容液の先駆者であるロート製薬の「オバジ(OBAGI)」“Cシリーズ”は、ベース処方を一新して浸透スピードが飛躍的に高まった。
双方ともに長年のファンが多いため、テクスチャーや使用感を可能な限り踏襲する一方で、処方を「ほぼ1から検討し直した」というから驚きだ。ある意味、新製品を開発するよりハードルが高い作業であり、処方担当者の苦労は想像に難くない。その結果誕生した進化型ロングセラーは、肌の機能を根本から立て直し、潤い、ハリ、透明感などさまざまな肌悩みに応えるという意味でも、まさに今の女性が求めるスキンケといえる。
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スキンケア編で紹介した製品は、いずれもトレンド要素が重複している。「アスタリフト」は「マスク老け」にも対応するし、「シャネル」や「d プログラム」は「進化したロングセラー」にも当てはまる。
総じて、今女性に求められるスキンケアのポイントは「多機能」「肌本来の根本的な力を高める」「信頼感がある」ということだろうか。肌はライフスタイルを映し出す鏡であり、不安定な時代だからこそ、確実に効果があるものを選びたい――。2021年はそんな本質的で堅実な方向に、女性の気持ちが強くシフトするように思う。
さてその一方で、メイクアップのトレンドはどうだろう? こちらは「コロナ禍を経験した、リアルな現在の気分」を表現するカラーが登場している。詳しくはメイクアップ編でご紹介したい。