月刊誌「WWDビューティ」で「ヒットランキング」の企画を担当している。リアル店舗からデジタルまで、チャネル別のヒットランキングを紹介するページだが、毎月「UVケア」「アイメイク」など、カテゴリーを絞り百貨店やドラッグストアなど3社に取材する。毎月の売り上げを前年と比較検証するが、今回はスピンオフ編をお届けする。2社に協力を得て9~11月のヒット製品について聞いた。
まずはネイチャーズウェイPR担当の寺西恵氏にスキンケア製品とメイクアップ製品のヒット製品を聞いた。オーガニックスキンケアブランド「チャントアチャーム(CHANT A CHARM)」の売り上げトップ3は以下だ。
1位“スポッツジェル”(15mL、2500円)
2位“パウダーウォッシュ”(0.8g×34包、2500円)
3位“ディープモイストオイルシリース”(60mL、3200円)
「1位は、ニキビケアアイテム。長時間のマスク着用などによる肌荒れに悩む方が多い。ECで前年同期比167%増と好調だ。2位もニキビケアアイテムでECで同133%増と伸長した。3位は、エアコンや暖房などの空調による乾燥が気になった人から支持され、同83%増だった。スキンケアにかけられる時間が増えたこともスキンケアが好調の要因ではないか」と寺西氏は分析する。また、2021年の展望として「引き続き、ライトな仕上がりのベースメイクや、石けんオフできるアイテムはご支持をいただけるだろう。来春は、目まわりにフォーカスしたベースメイクとポイントメイクアイテムを発売予定だ」と話す。
石けんオフできる、ライトなベースメイクアイテムが好調
また、同社が展開するミネラルメイクブランド「ナチュラグラッセ(NATURAGLACE)」の売り上げトップ3は、
1位“UVプロテクションベース”(30mL、3200円)
2位“メイクアップクリーム”(30g、2800円) “メイクアップクリーム シアーモイスト”(30g、2800円)
3位は、“ルースパウダー”(7g、4200円) “プレストパウダー”(12g、2800円)
「1位は同62%増。1本で紫外線、ブルーライト、近赤外線から守ることができ、自然なトーンアップをかなえる点が支持を得た。2位は、いずれもECで同31%増の実績となった。下地・ファンデーション・日焼け止め・保湿美容液・ブルーライトカットという5つの機能を兼ね備えていて、石けんオフできる。メイクアップクリームは、メイクしながらスキンケアをかなえるライトな仕上がりのファンデーションとして、2020年はさらに多くのお客さまから支持された。3位は、手軽にメイク直しができるアイテムとして、ECで同10%増の実績だ」と話す。
口腔ケア「デンティス」、フットケアアイテムも伸長
口臭予防歯磨き粉「デンティス(DENTISTE)」を扱うリベルタの山田祐子ブランド戦略PR担当は「店舗と直販で9月が46%増、10月が103%増と伸長した。11月も2倍を超え順調に推移した。好調の要因は、コロナ渦によりマスク着用が当たり前となり、口腔・口臭ケアの意識が、春以降継続していることがあげられる。併せて、9月10日に発売した日本限定のフレイバー“レモングラス チューブタイプ”(100g、1200円)の影響もあり、定番製品の売り上げが伸びた」という。また、同社の足裏角質ケア製品「ベビーフット(BABYFOOT)」(1600円)シリーズは、海外への出荷も好調だという。「直販では、9月が30%増、10月が68%増、11月が130%増と推移した。在宅時間が増えたことにより、自宅ケアが日常的になったことが売り上げをけん引した。寒くなり、靴下を履く機会が増えたことで、『ベビーフット』を再開するお客さまも多い。特に、海外ではアメリカへの出荷が好調で、日本と同様のおこもり美容がトレンドになっている」と話す。
21年に期待する製品として「12月発売の“アレナース マスクガードミスト”(50mL、900円)。保護皮膚成分のリピジュアと、ヒアルロン酸の2層からなる保護膜を形成し、マスク荒れの原因となる摩擦やムレから肌を守るミストだ。ウィルス感染症の流行が落ち着いても、衛生面への配慮は継続するだろう」と話す。
「マスク着用による肌荒れケア」「石けんオフできる」、「口腔ケアへの意識の高まり」など、今年らしいニーズをダイレクトに反映した結果となった。これほどまでに、マスク着用を前提としてスキンケアやメイクを考えたことはなく、固定概念が覆される1年となった。健やかに、制約なくーー。2021年は、ビューティの喜びを心置きなく謳歌できる年になることを願っている。